■東大合格の9割は親のおかげだった

 日本最高峰の大学にして、大学評価の世界的指標のひとつである「世界大学ランキング 2014―2015」でアジア第1位を誇る東京大学。『偏差値29からなぜ東大に合格できたのか』の著者・杉山奈津子さんは、高校3年生の秋の時点で偏差値29だったにもかかわらず、1浪の末に東大合格を果たしている。

 これまで自身の勉強法を惜しみなく公開し、多くの東大受験生に希望と具体的なノウハウを授けてきた杉山さんだが、本書では子どもの能力を最大限に引き出す親の役割を説いている。

「東大に合格するためには、勉強法も大切ですが、実は根本的に必要なことがあるんです。それは“東大に行くぞ!”という目標設定。でも、東大を受験しようと決意すること自体が実は難しいんです。私は高3の秋の時点で偏差値が29で、東大を目指してはいけないような成績でした。でも、頑張って勉強した結果、1浪はしたのですが、無事に合格することができました。当時を振り返ってみると、成績が悪かったにもかかわらず東大に進学ができたのは、親のおかげだということに気づいたんです」

 杉山さんは、偏差値29という厳しい現実を突きつけられても、“やればできる”という自信を持ち続けていた。その基盤となったのは、母親の言葉や態度だった。

「私には姉と妹がいるのですが、母はいつも“やればできるよ”と言ってくれ、私たち姉妹を信じてくれました。姉は勉強が苦手でしたが、長年続けている趣味が国内で1位になったことがあり、最近は海外からも注目される人物になりつつあります。妹は東京工業大学に進んだのですが、さほど成績がよくなかったのに、“東工大に落ちたら、来年は東大に行こうかな”と、さも東大合格が当たり前のような発言をしていました(笑い)。母の言葉があったからこそ、現実が理想にまったく追いついていないとしても自分の可能性を信じ、目標に向かって努力することができたのだと実感しています」