生い立ちから子育て論、夫婦円満の秘訣まで

具志堅良好の精神論「日本人の男の偉そうな姿はイヤだったねえ」

2015年10月19日(月) 05時00分
〈週刊女性10月27日号〉
2015年10月19日(月) 05時00分
〈週刊女性10月27日号〉

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■僕をチャンピオンにしたのは故郷・石垣島

 60年の人生のうちの、7年間。プロボクサーだった現役時代は僕にとってものすごく長く、終わりの見えない戦いだった。負けるのが怖いから練習をしたし、精神力を鍛え続けた——。

『具志堅良好!語録』のイントロダクションは、こんな書きだしから始まる。

 バラエティー番組では、その自由な感性を余すところなく爆発させ、想像もつかないユニークな発言でお茶の間を沸かせる具志堅用高さん。若い人たちにとっては“アフロヘアの面白いおじさん”という印象かもしれない。

 ところが実際は、18歳でプロデビューしてわずか2年、9戦目で世界王者となり、以降、世界王座防衛13度の日本人最多記録をいまだに保持する、元WBA世界ライトフライ級チャンピオンなのだ。

 この本には、具志堅さんが現役時代に培った、さまざまな精神論が綴られている。

「小さいころからおふくろに、“人を殴ってはいけない”って言われて育ったから、沖縄本島で下宿をしながら興南高校でボクシングを始めた時はさすがに言えなくてね〜、ずっと黙ってたんだよ。でも、試合に勝って新聞に載ってバレちゃった(笑い)」

 高校3年生の時にインターハイで優勝したことをきっかけにスカウトされ、「協栄ボクシングジム」に入門。あっという間にデビュー戦が組まれ、勝利。その後も試合に勝ち続け、気がつけば当時の王者、ファン・ホセ・グスマンを破って世界チャンピオンになっていた。

「僕が世界チャンピオンになれたのは、もちろん1日も欠かさないハードなトレーニングの成果があったと思う。現役時代の7年間、毎日、早朝からひたすら走り込んで、午後からはジムでのトレーニングを続けたんだ。

 つらかったサ〜。でも何よりも、生まれ育った石垣島で培われた強いハングリー精神があったから、どんなつらい練習にも耐えられたし、リングで戦える度胸がついたんだと思う。

 僕が育った石垣島は食べるものも着るものもなく、草履すらないから毎日、裸足で自然の中を走り回っては、ありとあらゆる遊びをしたんだよね。海釣り、川遊び、草野球、木登りと、全身の筋肉を使ってヘトヘトになるまで駆け回って。日曜日になると友達と廃材を拾ってきてイカダを作って、沖へ出たりしてさ。

 強い肉体や体幹、バランス感覚はすべて遊びの中で作られたんだね。石垣島には厳しい生活と楽しい遊びが当たり前のようにあって、それはすべてボクシングと共通していた。僕をチャンピオンにしたのは石垣島でもあるんだ」

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■引きこもりが増えているのって…

 引退後は、自身のボクシングジムで指導をしながら、タレント活動をする多忙な毎日を送っている。ふたりの子どもは巣立ち、結婚して孫も4人生まれた。

「昔はね、沖縄のおじいちゃん、おばあちゃんが偉かった。戦後だったし、しつけや教育にはうるさくて、子どもや孫の代まで口を出して厳しく育てた。

 うちは共働きで、親父は毎日、早朝からカツオの1本釣り漁に出て、おふくろはきょうだい4人を身ごもっていた時も、プレハブ小屋で魚をさばく仕事を休まなかった。そういう姿を見ているから、仕事をして、生活をして、子育てをする厳しさは身にしみていたんだよね」

 そんな具志堅さんの子育てのポリシーは“褒めて褒めて育てる”こと。

「今は昔とは環境が違うからね。自然の中を走り回ることもなければ、モノが充実している。そんな恵まれた環境で、同じように厳しく育てることはできない。

 今の時代って引きこもりが増えているっていうじゃない。それって、幼少期に自由を奪うほど親から怒られすぎたからじゃないかな。

 挨拶はちゃんとしろ、嘘はつくな、という道徳だけはちゃんと教えて、あとは自由に育てるほうが、今の子には合っている気がする。

 例えば、かけっこがビリでも“走り方はいちばんお前がカッコよかったよ”って褒めてあげる。だって本人は1番になろうって思ってないかもしれないのに、1番になれなかったことを怒っても卑屈になるだけだよ。

 僕は2人の子どもは褒めて育てたし、孫なんて一切叱らない。まあ孫は4人とも女の子で、嫌われたくないから(笑い)。

■奥さんも子どもふたりも“用高”って呼ぶ

 でもさ、子育てする主婦の方も大変だよね。共働きが多い現代では、旦那さんと協力し合わないと疲れちゃうよね。僕は子どもの保育園の送り迎えもしたし、言われればスーパーに買い物にも行ったよ。

 それができたのは、現役時代に海外の暮らしを見ていたから。ハワイのアメリカ人のトレーナーが住む家に彼の家族と滞在していた時、彼は食べ終わった自分の皿は自分で洗っていたんだ。

 今でこそ日本でも当たり前かもしれないけれど、当時の日本人の男は、奥さんに“おい、あれ持ってこい!”とか命令してやらせるのが普通だったからね。そんな偉そうな姿はイヤだったねえ。

 子育て同様、奥さんのことも褒めて、名前で呼ぶ。僕はちゃんと呼んでるよ。まあ向こうも僕のことを“用高”って呼ぶし、子どもふたりも“用高”って呼んじゃってるけど。そのうち、孫も“用高”って呼ぶようになるんだろうなあ(笑い)」

■取材後記

「嫌いなヤツに会ったら逃げろ。ニコニコ挨拶だけして2度と会わなければいい」。著書にある言葉が印象的でした。“負けちゃダメ”“常に1番を狙え”というのではなく、子どもは褒めて自由に育て、時には逃げることも必要、という独自の子育て論に考えさせられました。

(取材・文/若山あや 撮影/米山英美)

〈プロフィール〉
ぐしけん・ようこう ●1955年6月26日生まれ、沖縄県・石垣島出身の元プロボクサー。「白井・具志堅スポーツジム」会長として選手の育成をしながら、タレント活動も続ける。元WBA世界ライトフライ級王者であり、13度の防衛記録を持つ。生涯戦績は24戦23勝1敗(15KO)。今年『国際ボクシング名誉の殿堂』に選ばれた。

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