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 朝ドラ『あさが来た』の快進撃が止まらない。9月の終わりに放送が開始されてから、週平均の視聴率はすべて20%超え。日によっては、27%超えも記録している。

「ヒロインの前向きな明るさというのがいちばんだと思いますが、見ていてほっこりと明るい気持ちになれることが大きいのかなと思います」

 その人気の秘密はどこにあるのか、制作統括を務める佐野元彦エグゼクティブプロデューサーに語ってもらった。

「まずは“割れ鍋に綴じ蓋夫婦”というような、おもろい夫婦を描きたかったんです。朝ドラという枠なので、みなさんが朝、家を出るときにポンと肩を叩いて“いってらっしゃい”と送り出せるというか……。柔らかくて、温かいものにしたかったんです」

 朝ドラ初の時代劇、と放送前から話題になった。

「実は、僕からは1度も“時代劇”とは言ったことがないんです。NHKの発信するものでも、いろんなところで、わかりやすく時代劇と言ってしまっていますので、僕も否定はしませんけど(笑い)。

 たまたま描いている時代が幕末から明治というだけで、モデルになっている夫婦が面白かった、というのがいちばんのキーポイントなんです。そして、その夫婦を取り囲む家族の物語ですよね。お姉ちゃんとの姉妹のストーリーであったり、嫁ぎ先の家族の面白さであったり。あくまでもホームドラマなんです」

 あさを中心に、彼女の実家や姉妹の嫁ぎ先など、いろいろな家族が登場しているけど、物語の中心はどこを意識しているのだろうか?

「“割れ鍋に綴じ蓋夫婦”の話が縦の糸なら、横の糸が運命の姉妹の物語ということです。キャラクターで分けるなら、あさが“太陽”なら、はつは“月”。世の中が動いたときに、大河ドラマなら主に政治家や軍人、あるいは武将といった時代を動かした人物の目線で描きます。でも今回はそうじゃない、振り回された側の目線なんです。

 産業の変化の構造に乗っていった人と、そうではなく地にしっかりと足をつけた生き方を選んだ人。その両方が振り回される側にもいたわけです。時代を変えた人だけではなく、そういった人たちの生き方との両方があったから、幕末から今につながってくる日本というものがあるんだ、ということを意識しています」