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 コミック誌『週刊バイブス』編集部を舞台に“一冊の漫画”という夢のために、全力で仕事に取り組む人々の姿を描いたドラマ『重版出来!』(TBS系・火曜夜10時~)。原作は松田奈緒子の『重版出来!』(小学館『月刊!スピリッツ』連載中)。

 主人公の黒沢心を演じる黒木華はじめ、原作と酷似したキャスティングが話題だが、原作ではちょっと太めの和田編集長役の松重豊はこう語る。

「(原作の)五百旗頭と演じているオダギリ君は、どっちがモデルかわからないくらい似ていますが、僕の場合はビジュアルで近づけることはできないので、キャラクターの豪快さ、リアリティーを考えました」

 和田の役作りでは、グッズや色などで、阪神ファンらしさを出している。

「和田は、怒り方やテンションが極端な人物ですが、それだけではないんです。部内を統括する立場として自分が若いころとは違う感覚を持っている現代の若者と向き合っていかなきゃいけないジレンマがある一方で、一緒に戦っていかなくちゃいけない。そのへんのせめぎ合いのリアルさは投影させていこうと思いました。“こういう人いるんだろうな”と思って見てもらえたら、いいかな」

 出版業界の現状やコミック誌の編集など、興味深いものがあるという。

「編集者と漫画家の関係性は、プロデューサーと役者、あるいはマネージャーと役者、僕らの世界に置き換えることもできます。共感と驚きがあるので、演じていて面白いですね」

 『バイブス』では毎回さまざまなハプニングが起きるが、松重が劇中で好きなシーンは、意外なところに。

「ときどき登場する柔道のシーン。僕も柔道部だったので、心ちゃんがオリンピックを目指していた選手だったというのも僕の中では好きなモチーフですね」

 個性派、演技派といわれる役者がそろった作品で、数々の映画賞に輝き、連ドラ初主演の黒木を“日本の宝”と評する。

「直接、ほめると本気でテレて怒られちゃうので言えませんが、本当に素晴らしい女優さんだと思います」

 若き才能の、さらなる飛躍に期待を寄せている。