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 2017年4月に迫る消費税10%時代。収入に占める食料品の割合が大きい低所得者層の負担感を減らすために政府・与党間で議論されているのが、軽減税率の導入である。

「'14年に消費税のほか国民年金や厚生年金などの社会保険料が値上がりしました。アベノミクス効果で“給料は上がる”とされながらも、実際に上がっているのは公務員や一部上場企業くらい。

 消費税が10%になったら、自由に使えるお金がさらに減り、生活が圧迫されるでしょう。例えば年収500万円で片働きの4人世帯の場合、手取りのうちモノやサービスを買うのに使えるお金は'14年上半期では410万~415万円ほど。これが10%に増税以降は400万円近くまで落ちていくとシミュレーションされたデータもあります」(消費生活アドバイザーの丸山晴美さん)

 たとえ軽減税率が導入されても、消費税10%の増税感は家計を容赦なく直撃する。どんな防衛策を、暮らしに張り巡らせることができるのか。

 丸山さんが指摘する、大胆にメスを入れるべき最大の節約対象は、今年9月に安倍首相が「高額すぎる」と問題視した携帯、スマホなどの通信費だ。'14年における総世帯の消費支出に占める通信費の割合は、13.9%を占める。

「固定電話で事足りた時代には、通信費は月2000~3000円ですんでいました。それが今では、1人1台スマホを持ち4人家族は通信費だけで4万円近くかかる。家庭用パソコンのプロバイダー契約などを入れたら、5万円弱になる世帯も。 1か月の収入が40万円なら約8分の1も通信費に消えていることになります。格安スマホや格安SIMなどに変えるのがオススメで、基本料金を月1600円くらいに抑えることも可能です。月の支出が1人当たり5000~6000円も違ってきます」(前出・丸山さん)

 手つかずの通信費を見直せば、年に10万円単位で支出を抑えることだってできるのだ。車を手放すことも、大口節約につながる。

「都会に住む短距離ドライバーや土日だけ車を使う人などはカーシェアリングの利用だけで十分。車1台手放すと年間経費は約50万円削れます」

 丸山さんは見直しを提案する。口調はさらに熱を帯び、「電化製品を買うなら新商品が出る直前に型落ち品を狙う」「新幹線の特急券はモバイルスイカが現金より安く買える」「ネットショッピングを利用すれば、交通費をかけずに商品が安く手に入る」といったアドバイスが次々に飛び出す。

 女性にとっては大きな節約につながるのが化粧品。

 「精製水100ccにグリセリンと消毒エタノール15ccを混ぜれば作れます。原価は約50円! 私は20年間、手作りですから、もう車1台分くらい節約できています」

 たとえ軽減税率が導入されても、役に立つサイトとして丸山さんが推奨するのが『NESPA(ネスパ)』だ。

「ネットスーパーを比較できるサイトです。郵便番号を入力すると、自宅まで宅配してくれるスーパーが見つかる。欲しい商品を選択すると、その商品の安い順にスーパーが並びます。いちばんお得なスーパーを選択して決済すれば、家まで届けてもらえる。うまく使えば、月に20%ほど安くなるそうです。4人家族だとひと月に5万円くらい食費に使いますが、月に1万円ほど節約できますよね」

 節約の達人は、税制について次のように注文する。

「軽減税率を日用品くらいまでは拡大してほしいですね。このまま10%になったら、国民は本当に必要なものしか買わず、またデフレに陥ってしまうかもしれません。経済状態が厳しいのに子どもを産もうとはなかなか思えませんから、少子化が進む可能性も。家計が苦しい人たちをさらに追い詰めるような政策は、考え直してほしいですね」