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 さいたま市岩槻区にある施設は昨年12月16日、同市の貧困ビジネス規制条例に引っかかった。都市計画法で定められた開発許可を受けずに施設を建設し、生活保護受給者を受け入れ、保護費を不当に徴収したとされる。

「あの施設は薄気味悪い。排水がとにかく臭いんですよ。入居者は30~50代の働き盛りなのにいつもプラプラしていて、集団でコンビニに来たり、パチンコ店にいる。本当に生活保護が必要な人たちなのか、と疑っています」(近所の住民)

 市は施設を運営する宗教法人『善弘寺分院宗永寺』(東京都足立区)に対し、これ以上、新規入居者を受け入れないよう文書で命じた。しかし、

「同寺の責任者は何度電話連絡しても出ず、折り返しもない」(市生活福祉課)

 どんな施設なのか。JR岩槻駅から南へ車で約15分。周辺には林や畑、工場や倉庫が多い。近所の主婦はこう話す。

「倉庫みたいなプレハブに大勢の人が住んでいる」

 施設を訪ねると、作業着姿の男性が出てきて「入るな! 取材はダメだ!」と牽制した。

 すぐに館内放送で、「表に週刊誌の記者が来ているので、みなさん、何も話さないように」とアナウンス。どうしても施設の内情を知られたくないようだ。

 入居者らによると、敷地内には計99部屋の1人部屋と食堂、共同風呂などがある。生活保護を受給・申請中の男性63人(昨年12月16日時点)が暮らす。施設職員が住み込む管理棟には売店があり、カップ麺やお菓子を100円均一で販売。缶コーヒーは50円という。なぜ、安いのか。

 40代の入居男性は「オレらが保護費を差し出しているからね」と力なく笑った。

「あったかい布団と部屋がある。2食付きで1日1000円あげるから来ませんか」

 東京・新宿でホームレスをしていた男性は“スカウトマン”から声をかけられた。

 部屋は個室で2畳。窓がひとつ、小型テレビと灰皿があるだけ。部屋の中はうっすら暖房が入っている程度だから防寒着を脱げない。敷布団1枚と薄っぺらい掛け布団3枚を与えられた。枕がないので掛け布団を抱いて寝る。

「生活保護申請をさせられて、保護費を受給するまでは施設内でしか使えない1日300円分のキップをもらう。受給が始まると1日500円もらえるようになる。もらうといっても自分の金だけど。

 日曜日は小遣いなし。ほとんどの入居者がタバコを吸うので、あとは安いコーヒーを飲んでおしまい。最初に聞いた金額と違うけど、みんな文句は言わない。仕方ないか、って諦めている感じ」(同男性)

取材・文/フリーライター山嵜信明と週刊女性取材班