2016年に文部科学省が「2020年に日本の小学校でのプログラミング教育を必修化する」と発表。プログラミングとは「Aの場合はBの動きをする」などと、機械にやってもらいたい動きをコンピューター上で指示すること。夏休みに開かれた子ども向けのプログラミングスクールは大盛況。体験した記者も途方に暮れるほど難解な電子工作に、子どもたちは真剣な表情で取り組む。IT化の波が教育界にも押し寄せるなか、親のほうも「わからな~い」では済まされない時代に。

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「ママ見て、動いた~!」

 障害物を自動的に判断して回避できる自作の車を手にした小学生の歓声が響き渡る。ここは東京都新宿区にある子ども向けのプログラミングスクール。この日は夏期の特別講習として、プログラミング制御を用いた電子工作のイベントが開催された。作ったのは、ボタンひとつで自動開閉する「自動貯金箱」と、障害物を避けられる「障害物回避戦車」。いずれか好きなほうを選んで製作する。参加者は男子4名・女子3名の小学生。親が見守るなか、少し緊張した表情でスタートした。

 参加者の前にはパソコンと工作の材料が置かれ、各自、パソコン画面上で作り方を確認しながら作業を進める。現役プログラマーの講師4名がつきっきりで、置いてきぼりにはならない。

 文系出身の記者も障害物回避戦車の製作に挑戦したが、序盤のモーターづくりでさっそく先生にヘルプを要請。簡易な説明書すら読み込めず、どの部品をどう組み立てたらいいかさっぱり。途方に暮れる記者の隣では作業がどんどん進み早くもモーターを基板に接続し回している男子の姿が。手先を動かして組み立て違うと思えばやり直すという地道な作業の繰り返し。すごい集中力で声をかけられないほど。

 初めは不安そうだった子が、慣れてくると自分なりにディテールにこだわったり、真剣に作業するようになる姿も印象的だった。

 本体ができたら次はプログラミング。障害物との距離を超音波で測り、避けられるようにコンピューターで指示を与える。モーターの速さや車が何センチ前にある障害物を避けるようにするかなど自分で工夫できるため、何度もテスト走行を繰り返し、自分の好きな走り具合に調整する。最後は画用紙でボディをカスタマイズしたら完成だ。

 黙々と作業をこなし、いちばん最初に完成したソウタくん(小5)は、「大変だったのはタイヤにベルトをはめこむこと。ベルトがすぐはずれてしまって、なんでだろうと思ったけど、タイヤを取りつけ直したらうまくいった。今度は人型のロボットを作りたい」

 自動貯金箱のプログラミングでは、フタが開いたらアームにセットしたお金が貯金箱の中に入るようにプログラムする。埼玉県所沢市からお父さんと訪れたユナちゃん(小5)に完成品のこだわりを聞いてみた。「アームの速さを工夫しました。お金を入れるときに勢いよく落ちると傷つくと思い、お金が入るときはゆっくり、アームが元に戻るときは素早く動かすようにプログラミング。パソコンで指示したことが、実際に目の前の貯金箱の動きに反映されるのが楽しい!」

 さらにユナちゃんは、Aボタンを押したあとにBも押さなければフタが開閉しないようにプログラミング。ほかの人が勝手に開けるのを避けるためかもしれない。

 この日の完成品は持ち帰り、自由研究の成果として提出できる。参加費用は1日1万6200円(材料費・税込み)。高いとみるか安いとみるかは、親の教育への関心や社会の情報化・AI化に伴う問題意識があるかどうかにもよるのだろう。

自動貯金箱にオリジナルの仕掛けをプログラミングしたユナちゃん(小5)

 イベントを主催する『Knocknote』代表の鈴木道生さんはこう話す。

IT化の流れで’11年ごろから小学生向けのプログラミング教室が増えていきました。今年の夏期講習は約80組の親子が参加され、地方から来てくださる方もいました。プログラミングやものづくりでは、問題解決能力や分析力、創造性が鍛えられます。試行錯誤を繰り返し、解決していく姿勢が求められるからです。本格的なプログラミング言語を学ぶ際にも、根本的な考え方が身についているため、スムーズに吸収することが期待できます」

 子どもの将来を見据える親のなかでプログラミングを学ばせることは常識化し始めているのかもしれない。