衆院選を前に「政治とニッポンの行方」について緊急インタビュー。テレビ番組への出演を通して政治について深く考えるようになったというウーマンラッシュアワー村本大輔さん(36)は、自衛隊や原発についての今の状況をどう見ている?

ウーマンラッシュアワー 村本大輔さん

国に個人の命を扱う権利はない。専門家だけに政治を語らせるな

 僕は弟が自衛隊員なんです。安保法制や憲法改正の議論を聞いていると、隊員の命をカードのように扱っている気がして。

 国際貢献のためというなら、まだわかる。でも、ほかの国に命をかけて行くわけで、国が個人の命を取り扱う権利なんて1ミリもないと思います。

 そう話すと、みんな「外国から攻められたらどうするんだ?」と言う。『朝まで生テレビ』に出演したときは、田原総一郎さんから「国民は国を守る義務があると思う」と言われたし、そう考えるやつはネットでも山ほどいるけどおまえが戦争に行くのか? と言いたいですね。

 北海道・稚内でライブのあと、スナックで飲んでいたら偶然、お客さんに航空自衛隊の方がいたんです。海外派兵について尋ねたら「僕らはもちろん命をかけるつもりでいるけれど、やっぱり誰かに止めてほしい」と話していました。そら、そうやろ。簡単に命をかけさせるなと思います。

 安倍首相が京都の舞鶴(海上自衛隊基地)で、隊員に、北朝鮮のミサイルに対し「国民の安全確保のため万全の態勢をとってくれました」と語っていたけど、あれは安倍さん、「みなさんの命を落とすことがないよう一生懸命に努力します」と言うのが筋でしょう。「私の誇りであります」なんて言ってる場合じゃない。

 稚内で会った彼は、家族を食わすために自衛隊に入ったと話していたけど、そういうところは原発に似ています。

 僕は福井県おおい町の出身で、大飯原発がそばにある。原発で働くことは、花形で、安定していて給料もいい、食える仕事なんですね。テレビの仕事が全然なかったころ、「原発の下請けの仕事がある。チャンスやで」と、実家から電話がかかってきたくらい。

 夢のエネルギーだ、出稼ぎに行かなくてすむんだとうまいこと言われて、貧しい地域に原発が置かれてきた。それで町の基盤もできた。だけど生活するのに必死だから、原発がどれだけ危ないか、事故でどんな被害をもたらすか、考える余裕がないんです。依存させておいて、依存から抜け出すにはリハビリが必要という視点がいまの議論にはないし、生活している人の姿が見えているのかなと思う。

 もともと政治への関心は一切なかったんです。高校中退して、新聞も読んだことがなくて。とにかくテレビに出たくて勉強したのが最初。そこから田原さんやジャーナリストの堀潤さんや、いろいろなつながりができました。

 芸能人が政治的な意見を言うと批判する人は多い。でも芸能人だからというのではなく、有権者はどんどん言ったほうがいいと僕は思う。『朝生』に出たとき、僕がいたおかげで、すごくわかりやすかったとツイートしてる若い子がいたんです。政治を知らない僕と同じレベルの人がテレビの向こうにいっぱいいる。そういう子たちに、おもしろい、そうだったのか! と思わせたら勝ち。専門家やコメンテーターだけに政治を語らせるなよと思います。だって自分たちのことなんだから。

<プロフィール>
ウーマンラッシュアワー村本大輔さん◎’08年にコンビ結成、’13年に『THE MANZAI』で優勝。被災地でのライブのほか、ウェブ番組『Abema Prime』でMCを務めるなど幅広く活躍