社会として取り組む課題は山積み

 被害を食い止めるためには、加害者はきちんと裁かれることが、とりもなおさず必要だ。

 しあわせなみだの中野宏美理事長は現状の問題点を、

「障がい者の相談窓口が限られており、相談につながったとしても事件化は困難」

 と端的にとらえ、

「刑法の性犯罪被害者の概念に障がい者を入れることを求めています。性被害は障がいのあるなしにかかわらず誰にでも起こりうること。“自分事”として受け止めてほしい」

 と世論の広がりを期待する。

岩田助教(写真右端)が基調講演を行った自民党議員の第1回勉強会。7人の議員が参加した
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 前出・岩田助教も、刑法の見直しと同時に、性教育の徹底を訴える。

「諸外国の調査では、正しい性知識を持っている障がい者が性被害に遭う割合は少なくなっている。日本は健常者を含めて性教育が遅れているので世界的なスタンダードにそって子どものころから性教育をきちんとすることが必要。

 もうひとつは、障がい者を孤立させない社会をつくること。孤立しなければ、(甘い言葉の異性に)ついていかなくなる。障がい者が被害に遭った場合に、的確な支援ができるよう整備も必要です」

 NPO法人『ファザーリング・ジャパン』の障がい児を支援する「メインマンプロジェクト」のリーダーで、発達障がいの娘を持つ橋謙太氏は、

「こういう行為は恥ずかしいこと、いけないこと、などとひとつひとつ知識を増やしていくことで被害を減らしていきます。嫌なことをされたときにNOと言えることを学べば繰り返される被害を防ぐことにもつながります」

 と当事者の学びに期待し、

「同時に地域に障がいをオープンにすることも大切。見守る環境をつくってもらうと同時に、理解をしてもらえるように働きかけることです」

 と積極的な公開姿勢を提案する。

 障がい者の性暴力被害をなくすために、社会として取り組むべき課題は山積している。まず、実態を知るべきだ。