“全裸入湯”だけでない

原田龍二 撮影/高梨俊浩

「仕事で秘湯や名湯に行き尽くしているので、行く必要がないんですよね(笑)。また、テレビや雑誌で紹介された秘湯は、もはや自分にとって秘湯ではない。

 温泉に対して抱いていたさまざまな概念が覆され、思いすまして温泉に行く必要がなくなったのかもしれません」

 普段から温泉に入らないからこそ、旅番組での温泉レポートが、より新鮮でリアルなものに昇華されているのかもしれない。

 原田さんの旅番組は“全裸入湯”だけが見どころではない。旅先の食事の感想から、温泉に入ったときの気持ちよさに至るまで“多くを語らない”ことも、人気の理由だという。

「僕は、収録中に“言葉で伝えること”を放棄しています。言葉ではなく、身体全体で伝えるのが、僕なりの表現方法なんです」

 そんな原田さんが温泉の素晴らしさを表すために欠かせないワザのひとつが、深い深いため息だ。

「誰しも、温泉に入った瞬間は目を閉じて“はぁぁああああぁ……!”という、歓喜のため息が漏れますよね。

 もしも僕がため息を我慢して、温泉の効能や成分を説明してしまったら、僕が感じている気持ちよさを視聴者のみなさんにお伝えできない。“原田龍二の旅番組”では、温泉の効能ではなく、旅の臨場感を楽しんでもらうことがもっとも重要なんです」

 その言葉どおり、番組内では原田さんのうそ偽りのないリアクションを拝むことができる。彼が自然体で臨んだ『日本の旬を行く! 路線バスの旅』(BS-TBS)で、栃木県那須郡那須町にある「鹿の湯」を訪れた際には、48℃という熱湯温泉に入り、唸(うな)りを上げる姿を披露した。