ピエール瀧

 厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部は、3月12日夜、ミュージシャンで俳優としても活躍するピエール瀧(51)を麻薬取締法違反(使用)容疑で緊急逮捕した。

 12日の午後6時すぎ、麻薬取締部が瀧に任意同行を求めて採尿検査を実施したところ、薬物の陽性反応が出て、瀧自身も「間違いありません」と容疑を認めたという。

夢を壊した仕事

 瀧は、現在放送中のNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』にも出演している売れっ子俳優。今回の逮捕は、日本中に衝撃を与えている。

「『いだてん』は、NHKの広報担当者が“今(逮捕を)聞いたばかりで対応を協議せざるをえない”とマスコミ関係者に伝えており、現在対応に追われているようです」(制作会社関係者)

当記事は「日刊大衆」(運営:双葉社)の提供記事です

 瀧は、NHK大河ドラマでは『いだてん』だけでなく、2010年放送の『龍馬伝』、14年放送の『軍師官兵衛』に出演。

 さらに、NHK朝の連続テレビ小説には、11年上半期『おひさま』、13年上半期の『あまちゃん』、16年上半期の『とと姉ちゃん』の3本にも出演していた。

「瀧は、『天才ビットくん』への声の出演など、NHK教育テレビの子ども向け番組に複数出ていました。公共放送であるNHKは多数のドラマだけでなく、子ども向け番組に“薬物俳優”を重用していたことになりますよね。もちろん、NHKサイドも知らなかったわけですが……」(スポーツ紙記者)

 瀧はさらに、NHKの土曜ドラマで、文化庁芸術祭賞大賞を受賞した『64』(2015年4月放送)で主演を務めていた。

「瀧が演じたのは、県警の広報官役。渋い演技で非常に評価は高く、“映画版よりいい”という声が挙がっていました。

 ただ、薬物を取り締まる側の警察官を演じた俳優が今回、薬物に手を出してしまったのですから、その高評価も台なしですね」(前出のスポーツ紙記者)

 奇しくも同ドラマには、瀧の一番の部下、係長役として前日、強制性交罪で起訴された新井浩文(40)も出演している。新井は、過去に『64』で共演した山本美月(27)と瀧とのスリーショットとともに、「64続編まだか…両脇犯罪者じゃないよ」と自身のツイッター上に投稿していたが、今回の瀧の逮捕で、両脇にいた2人ともが本当の“犯罪者”になってしまったため、今後、『64』の続編が制作されることはないだろう。 

「瀧は、2014年3月に日本で公開され、興行収入250億円超えの超ヒット作、ディズニー映画『アナと雪の女王』で、雪だるまのオラフの声優を務めています。瀧のオラフは脱力感が絶妙で、劇中でも大人気のキャラになり、スピンオフの短編動画も作られたほど。

 同作の続編は、今年の11月に日米同時公開予定で、声優の交代は間違いない。さらには今年1月に発売されたディズニーキャラクターが登場するゲーム『キングダムハーツIII』でもオラフの声優を務めています。過去には出演者が不祥事を起こしたために関連作品が発売中止になった例もあるので、関係各社は今、対応策を緊急で検討しています」(前同)

 3月13日放送の『ビビット』(TBS系)では、MCの国分太一(44)が瀧の逮捕に触れ、「若い人は、ピエール容疑者はオラフの声優という印象も強い方が多いと思います。途中で声優さんが変わったりしたら、親としては子どもにどう説明すればいいのか、そういったところも問題になってきそうな気はします」と、子どもへの影響を懸念するコメントを述べていた。

「瀧の子ども向けの仕事は多い。過去には『ポンキッキーズ』(フジテレビ系)にも出演していましたし、静岡市のPRソング『まるちゃんの静岡音頭』では、静岡市出身である瀧が歌を担当。同市(清水区)が舞台であるマンガ『ちびまる子ちゃん』をモチーフにした曲で、作詞は、『ちびまる子ちゃん』の作者のさくらももこさんが手がけています。

 2013年に完成したこの曲は、静岡市内の小学校や幼稚園、保育園などで歌われていますが、現実的に考えて、もう瀧の歌声が流されることはないでしょうね」(同)

 瀧は5月17日公開予定の、松坂桃李(30)が主演を務める映画『居眠り磐音』にも出演している他、大手企業のCMにも出演中だった。今回の逮捕による影響は、新井浩文の比ではないほど大きく、賠償金も莫大な額になるといわれている。

 だが、お金以上に、凶悪な薬物犯罪に手を染め、ドラマファン、映画ファン、そして子どもたちの夢を壊した罪は、どこまでも深い。