「けむハラ」ってご存知ですか? セクハラやパワハラに続き、けむハラの話題がチラホラ聞かれるようになりました。2020年に向けて、東京近郊を中心に分煙や禁煙が進んでいますが、その波は公共の場だけではなく民間や住宅地にまで及んでいます。一般の人も「けむハラされた」と声を上げやすい背景があるのか、近隣住人や夫婦間でトラブルが起きることがあるようです。もしも、隣人、家族、同居人からけむハラといわれたら? マンションの規約から、トラブルの渦に巻き込まれた夫婦を取材しました。

10年目の結婚記念日から次々と騒動が!

 20代からたばこを吸っている貴生さん(42歳 仮名)、とその妻、彩加さん(40歳 仮名)。2人の「けむハラ」をめぐるギクシャクは、結婚10年目の結婚記念日に始まりました。

 以前から子犬を飼いたいと思っていた貴生さんと彩加さん。結婚10年目の記念に2人で相談してミニチュアダックスフントを飼い始めることにしました。

「私達、実はミニチュアダックス好きSNSで知り合って意気投合したんです(笑)。結婚したら飼いたいねって話してたんですが、お互い会社員なので忙しくてすれ違い生活が続いて……。10年目を迎えて、なんだか結婚当初の気持ちを思い出しちゃったんです」

 と、懐かしそうに語る彩加さん。10年間いろいろあったけど、これからも夫婦仲良く平和に暮らしたいしたいと、ワンちゃんの名前を大好きなアニメの主人公、ハイジと名付けました。

「ハイジは毛が長いのでニオイがついたらイヤなので、いい機会だと思って夫に禁煙してほしいなと思って、相談してみたんです」

 貴生さんは、ハイジちゃんのために一発奮起し禁煙を考えたけど、やめるつもりがなく、せめてニオイがつかないようにベランダでたばこを吸っていました。

「ところが、この4月からマンションの管理組合の規約でベランダでの喫煙が禁止になってしまったんです。換気扇の下で吸うようになりました」 

 キッチンでたばこを吸うようになると、なぜかハイジちゃんが貴生さんによりつかなくなり、散歩を嫌がるようになったそうです。

「今まで交代で散歩に行っていたのに、夫の当番の日も私が行くようになってしまったんです。毎日定時に帰らなきゃいけなくなり、仕事が滞って大変……。リビングにもニオイがこもるようになったし、たばこを吸い続ける夫に、怒り爆発!“あなた、No!けむハラっていう言葉があるらしいのよ、知ってる?”って、聞いてみたんです」

「俺だって好きで煙を撒き散らしているわけじゃない」と意見が衝突。夫婦仲はどんどん険悪になっていき……。

隣の初老夫婦が、けむハラを訴え始め……

 数日後、ハイジちゃんを散歩に連れて行こうと玄関を出た彩加さん。

「隣に住む初老夫婦の奥さんが険しい顔で、玄関前に立っていたんです。すると“換気扇の下でたばこを吸っていません? 排気口から出るたばこのニオイが臭いんです!”ってキビしい口調でいうんです。すぐに謝りましたが、私が吸っているわけじゃないのに……、と理不尽な思いがフツフツ沸いてきました」

 その夜、彩加さんは隣人からの苦情のことを貴生さんに話しますが、「ベランダじゃないだからいいんだ。規約を守っているんだから」と、換気扇を「強」にして吸っている貴生さん。

「それから毎日散歩の時間になると、隣人が出てきて“ごはんの時間にニオってきて不愉快だ”とか、“これから気候が良くなるのに窓が開けられない”とかそれたばこのせいですか?といいたくなるようなことまで細かく話すんです」

 貴生さんがベランダで吸っていた時は北側だったため、それほど隣人は気にならなかったようです。しかし、換気扇の下で吸うようになって、排気口が南側のベランダの隣人側にあるため、リビングにたばこのニオイが流れてくるというのです。

 彩加さんは、ついに貴生さんにこれまでの我慢をぶつけます。貴生さんも一歩も引かず、言い合いの末、いつの間にか大泣きしていた彩加さんはハイジちゃんを連れて、友人の家に駆け込んでいました。

火を使わないたばこで、騒動の火ダネも鎮火

「その時、友人の彼が使っていたのが、火を使わない加熱式たばこだったんです。目の前で使っているのに、ニオイが気になりません。 “それ本当にたばこなの?”と聞くと、彼は火をつけるたばこと変わらないっていうんです」

 友人は片付けが苦手で、部屋が散らかり放題。火事を心配した彼が、自ら火災リスクの少ない加熱式たばこに変えたそうです。

「部屋の空気も汚れないし、たばこを吸っている人がいるとは思えませんでした。加熱式たばこはいいかも……と、気持ちを切替えて、翌朝、家に戻りました」

 彩加さんが家を出たことにショックを受け、気を落としていた貴生さん。彩加さんは、早速加熱式たばこの話を持ち出しました。ハイジちゃんのことも、隣人とのトラブルも解消し、火事のリスクも少なくなるかもしれないと話すと、貴生さんは加熱たばこに興味しんしん。

 それから、加熱式たばこ生活がスタート。隣人からの苦情もなくなり、少しずつハイジちゃんも貴生さんと散歩をするようになりました。

「年号が令和になっても、仲良く継続できそうです(笑)」

 と、ハイジちゃんの長い毛をなでる彩加さん。これからも、夫婦で協力しあってハイジちゃんとの生活を楽しみたいとニッコリ笑顔でした。

<イラスト/きくちもも>

提供:フィリップ モリス ジャパン