改元をはさむ10連休で世間がにぎわう最中の5月2日、49歳で急死した父親の告別式に、娘は祖母と児童相談所の職員に付き添われ参列した。滞在時間は約10分だった。

 棺の中の父をじっと見る娘は当初呆然としていたが、やがて号泣。1年以上、2人は顔を合わすことがなかった。昨年4月10日、娘の美樹さん(当時14=仮名)が学校で「お父さんに触られて嫌だ」と性的虐待を教員に訴え即日児相に保護されたからだ。

「ありえない」と口をそろえる家族

 喪主で妻の良子さん(44=仮名)は、仲睦まじかった父娘の関係が脳裏をよぎる中、

「5月2日は、主人が起訴された日でした。娘は今朝、父親に会いに来ましたが、生きているうちに会わせてあげたかった……」

 と涙ながらにあいさつした。

 2019年4月27日早朝、静岡県浜松拘置支所で、40代の男性未決囚が死亡しているのが発見された。

 男性は吉田康介被告(享年49=仮名)。昨年5月2日に監護者わいせつ、5月30日に児童福祉法違反、7月6日に監護者性交の疑いで起訴され、今年3月29日、静岡地裁浜松支部で懲役9年の実刑判決を受けていた。控訴審に向け準備をしている最中の突然死。死因は急性心疾患の疑い。病死だった。

 判決文は、娘の証言に信用性があるとし、父親の性的虐待行為があったと認定した。

 その内容は、2017年7月1日、娘と2人で風呂に入った際に胸や尻を触り、陰部を舐めたこと。2018年1月に風呂に入った際に性交したこと。同4月6日に、就寝している娘の乳房をもみ、陰部に指を入れたというもの。

 娘の告発以来、良子さんが抱いたのは「私が今まで見ていた日常はなんだったのだろう……」という思いだ。長男・広司さん(仮名)も「(性的虐待は)ありえないです。妹は日常的にお父さんにベタベタしていた」という父娘のスキンシップ。良子さんにも、仲のいい父と娘にしか映らなかったそうで、

美樹さんが小学校卒業時に撮影。仲よさそうに親子で写っている

「家に夫が帰宅すれば、2階から下りてきて“おかえり、パパチュー”って。小学6年生から中学1年生はそんな感じでした。

 お風呂も夫が“入ろう”と誘うときもあれば、娘から“パパ一緒に入ろうよ”と言うときもありました。私もお風呂を覗いて呼びかけたことだってあるんです。ありえないですよ。娘から身体を洗ってほしいと頼まれたこともあると聞いていましたから。

 ただ、学校で娘が虐待を訴えたときは、“入浴剤を買ってもらった、お父さんと一緒に入るんだって言ってたじゃない”と言うと“そんなことはない、私はずっと嫌だったんだから”と泣きじゃくって……話ができない状態でした」