事件現場の自宅周辺には規制線が張られ捜査が続いていた=4日
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 璃愛來ちゃんの誕生日の7月22日、「テーブルで頭をぶつけて嘔吐した」と病院を受診。おかしいと思った病院は、8月1日に市に情報提供した。

 前出・日渡容疑者の知人も、母親に対し、こんな疑念を抱く。

「8月ごろ母親がSNSに、璃愛來ちゃんのことをつねっている動画を投稿していました。けっこう強めにやっているなと伝わるものでした」

 虐待になるかもしれず、それをSNSにアップする心境も妙だ。

娘の面倒は容疑者に丸投げ

 同5日には「顔などに青アザがある」という情報が、別の病院からもたらされた。事件現場のアパート近くでは、「うるさい」や「だまれ」と怒鳴り散らす母親の声を、近所の住民が耳にしている。

 社会部記者は、

「以前住んでいた鹿児島市や薩摩川内市の自宅、現在の出水市の自宅近くでも、女性の怒鳴り声を聞いたという話がある。直接手は出していないかもしれないが、母親にも問題があったのではないかと思えますね」

 母親も虐待に加担していたのでは、と記者たちは母親の逮捕も推測していた。

昨年の成人式で撮影された日渡容疑者(中央)と仲間(読者提供)

 先月まで母親が勤めていた同市内の飲食店の関係者は、

「夜9時から3、4時間程度。多くても週に4回。娘は自分の母が見てくれていると話していた。でも妊娠もわかっており、8月には辞めました。この月はほとんどシフトには入っていなかった」

 事件が起きたとき、母親は「仕事」といって自宅にいなかった。母親は娘の面倒を容疑者に丸投げし、そのストレスは母親ではなく璃愛來ちゃんに向けられたのだろうか。

 本来、保護してくれる人に保護されない璃愛來ちゃんの命の針は、確実にレッドゾーンに触れつつあったのだ。

 虐待されている子どもに会えないケースが多い虐待事件。

 しかし、まったく面会できないというわけではなく、多少は母子の様子を把握することができた。日渡容疑者が暴行をふるう前日も、保健師と面談している。そのことが関係各所が危機意識を共有できなかったことにもつながっている。児相の所長が地元紙の取材に対し「親和性のある世帯で愛着関係を確認した」と答えているほどだ。

 児相に県警が伝えた「一時保護」の必要性も重視されなかった。病院から市にもたらされた「アザがある」という情報も児相や警察と共有されなかった。関係各所の温度差は最後まで埋まることなく、結果悲劇を招いてしまった。

 日渡容疑者の祖母は、璃愛來ちゃんと会ったことは「ありません!」と、ぴしゃり。祖父は「話すことはない」と口を閉じた。

 璃愛來ちゃんの葬儀では、憔悴する母親より誰よりも大声で泣いていたという日渡容疑者。

 新たな命が宿る母親の車のナンバープレートは璃愛來ちゃんの誕生日だった。