“ルーティン”の五郎丸歩、“マネージメント”のエディ・ジョーンズ監督……強豪相手への金星といった“奇跡”もあり、かつてないほどに注目された'15年のラグビーワールドカップ。しかし現在、開催中の日本大会でも、前回に負けず劣らずのスターが誕生している。日本代表としてワールドカップでは初めてとなるハットトリックを初戦で決めた男・松島幸太朗(26)。日本を勝利に導き、今後の躍進に欠かせない選手。相手チーム守備陣を切り裂く“モヒカン男子”の素顔に迫る──

 9月28日、前回のワールドカップでの“南アフリカを破った奇跡”に続いて、またしても番狂わせが起きた。ラグビー日本代表が、世界ランク2位の強豪・アイルランドに勝利したのだ。

 この試合では得点を決めることができなかったものの、9月20日に行われたロシア戦で3つのトライを決め、日本の勝利に大きく貢献したのが松島幸太朗選手だ。初戦の重圧もあって動きが硬かった代表選手たちを、自らのプレーで鼓舞し盛り上げた。

 松島はジンバブエ人の父と日本人の母を持ち、南アフリカで生まれた。その後、来日して東京に移住したが、13歳のころ南アフリカに留学。このときにラグビーを始めた。

「いや〜もう別格でした」

 そう振り返るのは、松島が中学時代に所属したチーム『ワセダクラブ』で彼を指導し、現在は日本ラグビー協会技術委員会の今田圭太さん。

「スピードは当時から素晴らしかったですが、走るだけじゃなく、キックやパスも中学のときからすごくうまかった。とにかく“すごい子”という印象でしたね」

 中学時代について、松島の同級生の母親が明かす。

「とにかく足が速かったですよ。もう走るフォームから違う。卒業アルバムや文集を息子と見返しましたが、クラスのみんながひと言ずつ書き込むページがあるのですが、松ちゃんは《毎日努力》と書いていました」