10月11日から13日にかけて行われたフィンランディア杯で、逆転優勝を果たした宇野昌磨(21)。今シーズン初のショートプログラムとフリーの両演技を行った宇野だったが、本人には反省が残る大会となったようだ。しかし今回の演技には、昨シーズンまでの彼には見られなかった、ひとりのフィギュアスケート選手としての“覚悟”があった―。

「今の練習から考えると、これ以上は望めない。まだスタート地点にも立てていない」

 宇野昌磨は、10月11日から13日に行われた、チャレンジャーシリーズのフィンランディア杯の試合後、自らの調整遅れを認めていた─。

 しかし、報道陣に対して悲壮感や悔しさをにじませることはなく「オフにバタバタしたこともあって、調整が間に合わなかった」と、淡々と語っていたという。

異例のコーチ不在で臨む今季、初めてショートプログラムとフリーの両方を滑った大会でした。ショートプログラムが2位スタートで、なんとかフリーで巻き返して逆転優勝。しかし万全の状態であれば、3種類4度の4回転ジャンプを組み込むはずのフリーが、今回は2種類2度しか跳びませんでした」(スポーツ紙記者)

 全日本フィギュア強化合宿中の7月15日、宇野は「今シーズンはメインコーチをつけずに臨む」という異例の発表を行った。5歳のころから師事してきた山田満知子コーチと樋口美穂子コーチ兼振付師のもとを離れ、ひとりでロシアへと渡ったのだ。

「メドベージェワ選手やザギトワ選手を育てたエテリ・トゥトベリーゼコーチ主催の夏合宿に参加していました。想像以上の練習量で、“ついていくのに必死で、ひさびさに昔の気持ちを思い出した”と、手ごたえを感じているようでした」(同・スポーツ紙記者)

 “異例の挑戦”をしただけに、今回のフィンランディア杯では、宇野に注目が集まることとなった。

合計得点は255・23点。“絶対王者”である羽生結弦選手の今季初戦である、オータムクラシックの279・05点から大きく離される結果でした。表現面などの演技構成点は高く評価されましたが、ジャンプは転倒するなどまだ安定しない状態です」(同・スポーツ紙記者)