活動20周年を迎えた11月3日、嵐がツイッター、インスタグラム、フェイスブック、TikTok、ウェイボーなど5つのSNS、またデジタル配信限定シングルの新曲「Turning Up」を含む全65曲の音楽配信(ダウンロード、サブスクリプション型ストリーミング配信)を一斉解禁することを発表した。

『news zero』(日本テレビ系)でキャスターを務める櫻井翔は同番組に出演した際に、このタイミングでSNS解禁の理由を聞かれ、

「世界中の方とつながるためにはインターネットの世界にいかなければならなかった」と説明。インターネットへの参入など、時代を見据えた“ジャニーズ改革”はすでに始まっていて、嵐のSNS解禁もその一環だといえるのだが、彼らは来年いっぱいで活動休止することになっている。それなのになぜ。

「時代に乗り遅れてしまいます」

 どんな人気アイドルでもグループが活動休止となれば露出は少なくなる。忘れ去られてしまったり、ファンがよそへ移ってしまう可能性も少なくない。だが、SNSで自ら発信をし続けるとなればそれを食い止めることができる。さらに、活動休止中はテレビ出演やコンサートもなく、少なくとも嵐としての収益はゼロなのでYouTubeの再生回数に応じて得られる広告費はジャニーズの収益源にもなる。今までしてこなかったSNSへの進出で、国内だけでなく、海外ファン獲得にも繋げたいのだろう。

 新曲『Turning up』のところどころに、その兆しがうかがえるというのは音楽雑誌ライター。

「新曲はこれまでの『嵐』の曲とは雰囲気がまったく違いますね。ほかのJ-POPの曲と比べても違う感じで、どちらかというと今世界で大ブームのK-POPアイドルに近い売り出し方をしているような気がします。

 MVを見ると、海外のニュース番組をパロディ化したシーンで始まり、キャスターの発言は画面下に英語字幕が流れたり、ロサンゼルスなど海外ロケのシーンもある。歌詞は英語の部分も多い。楽曲の制作陣やプロデュースが外国人で固められていることからも、世界に向けて発信する曲なのだろうと思います

 日本のアイドルグループで、アジアはともかく、欧米で成功した例はいまだにないといえる。嵐がその先駆けとなるのか。彼らのSNSのフォロワーはすでにツイッターは173万人、インスタグラムは220万人を超えている(6日現在)。

 これまでジャニーズの上層部はタレントの肖像権にこだわり続けていたためにタレントの写真がネットに掲出されることを極端に嫌っていた。今回、トップアイドルである嵐のネット解禁に踏み切ったのには事情があるようで、

ご存知の通り、ジャニーズの上層部はネットに疎い高齢の方が実権を握っています。しかし、ネット事業でも十分に利益をあげることができるし、今はネットの世界を中心に回っているといっても過言ではないので“時代に乗り遅れてしまいます”と周囲の人間に説かれたそうです」(芸能プロ関係者)

 嵐の世界進出にファンでなくとも期待が膨らむわけだが、不安要素がないとは言い切れない。

 それは、彼らの年齢だ。今、アジアの男性アイドルのなかで“世界一”といいほどの人気を博しているBTS(防弾少年団)はメンバーが全員20代。それに比べ、『嵐』は全員30代後半。MV(ミュージックビデオ)を見た世界の人たちに、“日本のトップアイドルはオジサンやな”と思わなければいいのだが……。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。