箱根駅伝に20回出場、うちシード権を10回獲得。過去最高順位は3位。中央学院大学は、まぎれもなく箱根駅伝の常連校だ。

冠水したグラウンドを目にして、呆然

 10月12日、台風19号が関東を直撃し、各地に凄惨な爪痕を残した。

「うちのグラウンドは利根川の堤防の内側にあるんです。台風直撃の日は練習は中止となり、寮で過ごしていました。翌朝、いつもどおり練習をするつもりでいたところ、グラウンドの様子を見に行ったマネージャーから衝撃画像を見せられました……」

 と、有馬圭哉主将は話す。一夜にして、いつもの練習場所は大海原に。千葉県我孫子市にある同校駅伝部のグラウンドは4mの冠水被害を受けた。

「ただただびっくりというか、こんなことが起きるのか……と。これまで何度も台風はきてましたが、我孫子の被害はゼロだったので。本当に、予想だにしていませんでした」

 利根川からの水に加え、下水も流れ込んだ。水は数日で引いたものの、泥や堆積物でグラウンドは真っ黒。年内復旧は難しいと報じられていた。

「“これからどうやって練習していこう?”、まず最初に浮かんだのはそれでした。とりあえず、寮から4キロほど離れた手賀沼公園にはランニングコースがあるので、そこでやっていくことになりました」

 市民の憩いのコースゆえに、のんびり散歩をする老人もいれば、サイクリングを楽しむ若者もいる。

「やっぱり自分たち専用のコースではないので、スピード練習はできません。危険なので。また、常に硬い路面を走るため、脚へのダメージはグラウンドよりもやっぱり大きいですね

 川崎勇二監督やコーチ陣の掛け合いにより、流通経済大学陸上競技部のホームグラウンドである“たつのこフィールド”(茨城県龍ケ崎市)へ週2日ほど通っていたという。

選手同士の面識はほとんどなかったのに快く貸していただき、感謝しかありません。スピード練習もできるようになりました。ただ、移動に時間が取られるのはキツイですね。バスで片道40分かかるので」

 寮に戻り、食事と入浴をすませるとバタンキュー。テレビを見る時間もなくなったと笑う。ただ、チームの雰囲気はずっと明るいと誇らしげ。

箱根駅伝に出場する全チームの中で、いちばん明るいチームだと思います。上下関係はほとんどなく、本当に仲がいいので」