《短期集中連載》
米津玄師が国民的歌手と呼ばれるまでの軌跡をプレーバック! 第3回

 自らプロデュースした『パプリカ』のワールドビデオ版が1月21日に公開され、話題を集めている。また2月から始まるアリーナツアーでは、台北と上海で2度目の海外公演を行うことも発表された。

 今や世界から熱い視線を注がれるアーティストとなった米津玄師。代表曲『Lemon』にたどり着くまでには、大切な人との別れと心境の変化があった──。

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 ニコニコ動画のボカロPから始まり、本名でデビュー。菅田将暉らとのコラボ……と、確実にキャリアアップをしてきた米津に劇的な変化が訪れる。’18年1月に主題歌を担当したドラマ『アンナチュラル』(TBS系)がスタートしたのだ。かつて恋人を殺害された井浦新演じる法医解剖医の過去と歌詞がリンクしていたこともあり、放送中から大反響を呼ぶ。

 3月にシングル化されると、配信を含めて300万枚を記録する大ヒットとなった。

 ドラマと『Lemon』がここまでシンクロした理由を、同ドラマの新井順子プロデューサーは過去のインタビューでこう明かしている。

「どこに主題歌をかけるか考えながら台本を作っていました。ですから米津さんには、主題歌をかけたい箇所に付箋を貼った台本を渡したり」

主題歌に起用されたドラマ『アンナチュラル』は『東京ドラマアウォード2018』で6冠

『Lemon』の制作中に祖父が亡くなる

 ドラマのために書き下ろしされた楽曲には、こんな制作秘話もあったという。

「試写会が終わった後に、米津さんから“曲を直したい”と言われまして。(中略)米津さんに“なんで変えたんですか?”と聞いたら、“なんとなく”って」(新井氏)

 不自然な形で亡くなった遺体の死の謎を解明するというドラマの内容とマッチした理由はほかにも。『Lemon』の制作中に米津の祖父が亡くなってしまったのだ。当時の心境をウェブメディアのインタビューでもこう語っている。

《人の死を扱う曲を作っている時に肉親が亡くなる…これはなかなか思うところがありました。(中略)かなり悩んで、完成までには今まで以上に時間がかかりましたね》

 そして時間をかけてたどり着いたのが、《苦いレモンの匂い》というフレーズ。大切な人を亡くした喪失感を表現しつつも、ただ悲しいだけのバラードで終わらせなかったことで、多くの人々の心をわしづかみにした。