心筋梗塞、脳梗塞に次ぐ第3の梗塞ともいえる“足梗塞”。悪化すると、足の切断にまで至るケースもある怖い病気です。ぜひセルフチェックを!

年間1万人が足を切断する事態に

 “足梗塞”という名前は、聞き慣れない人も多いのではないでしょうか。足梗塞というのは、最先端の科学とユニークな実験で日常の疑問を調査するNHKの人気番組『ガッテン!』がつくった造語で、正式には「末梢動脈疾患」といいます。

 動脈硬化が進んで、太ももやひざ下などの血管が詰まり、足先まで十分に血液が届かなくなる病気で、心臓の血管が詰まる心筋梗塞、脳の血管が詰まる脳梗塞に次ぐ、“第3の梗塞”といえます。

 自覚症状が出にくいため、足梗塞に気づいていない人も多く、国内の推計患者数は300万人以上にもなるといわれています。しかも悪化すると足が壊死してしまい、切断に至るケースも。なんと、年間約1万人が足梗塞によって足の切断を余儀なくされているのです。

 では、どのような人が足梗塞に注意するべきでしょうか。ポイントは「血圧」です。

 通常、血圧は片腕のみで測りますが、足梗塞を調べるためには、両腕両足の血圧を同時に測る「ABI検査」という検査を受けます。この検査では、血管が詰まっている場所までは特定できないので、足梗塞が疑われれば、より詳しい検査をして調べる必要があります

 血糖値や血圧が高い人や喫煙者は、血管が詰まったり血流が滞ったりしやすいので、特に注意したほうがよいでしょう。ABI検査は人間ドックで動脈硬化を調べる検査のひとつとして、2000~3000円で受けられることがあります詳しくは人間ドックの実施機関にお問い合わせください

心臓病などによる死亡リスクが3〜4倍に
心臓病などによる死亡リスクが3〜4倍に

●心臓病などで死亡するリスクが3~4倍に!?
 足梗塞になって足の動脈が詰まっていると、全身の別の動脈でも同じことが起こるおそれが。そのため、足梗塞を放っておくと、命にかかわる事態になることも。足梗塞がある人は、ない人に比べて10年以内に心臓病や脳卒中によって死亡するリスクが3~4倍も高まるというデータもあるため、早期発見が重要です。

足の毛や血色で発見可能

 実は、病院などの医療機関で詳しく調べる前に、自分で簡単に足梗塞をチェックできる方法もあります。

 下記で紹介しているように、足の毛などを左右で比較したり、足首を曲げ伸ばししたあとに足裏の色の左右差を確認したりしましょう。足腰に痛みがある場合は、無理をしないようにしてください。

 また、しびれの症状がある人は、しびれの出方を確認しましょう。少し休んでいるうちに、しびれがおさまって再び歩けるようであれば、足梗塞のおそれがあります

 これらのチェックで異変に気づいた人は、医療機関のフットケア外来や血管外科、循環器内科を受診することをおすすめします。

50人中8人に足梗塞の疑いが
50人中8人に足梗塞の疑いが

●50人中8人に足梗塞の疑いあり
 番組では、50人の男女を対象に足と腕の血圧を測るABI検査を行いました。この検査では、通常であれば、腕よりも足の血圧のほうが1割程度高くなります。しかし、腕より足の血圧が低い場合は、足の血流が悪くなっているおそれがあり、足梗塞が疑われます。
 実験の結果、50人中、足梗塞が疑われたのは、なんと8人。なかには40代の人が3人いました。このことからも、年齢に関係なく、誰でも足梗塞になるおそれがあることがわかります。

足梗塞セルフチェック法

1)足の毛の左右差で見分ける!

足の毛を左右差でチェック
足の毛を左右差でチェック

 足梗塞になると、足先に血液が行き届かないため、栄養が不足することが。足指や足の甲などの毛の生え方、毛量、爪の色を比較して、左右で大きな差があれば、足梗塞の疑いが

2)足の血色を比較!

足の血色を比較
足の血色を比較

 あお向けに寝て誰かに支えてもらいながら足を上げて足首を20~30回曲げたり伸ばしたりしたあと、足裏の色の左右差を確認。足梗塞の疑いがある足は、血液が行き届かず、色が白くなる。ひとりで行う場合は足の甲の色を確認。

3)しびれを確認

 歩いたり運動したりすると足がしびれるが、少し休んでいると、しびれがおさまる人は足梗塞の疑いあり。

(イラスト/おりとしのぶ)


NHK『ガッテン!』今後の放送予定
総合テレビ毎週水曜午後7時30分~8時15分
(再放送)総合テレビ翌週水曜午後3時08分~3時53分

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