安田美沙子の夫・S氏に3年ぶり2度目の不倫が発覚した。

“チョビヒゲのファッションデザイナー”というモテそうかつ反感を買いそうなキャラからか、2度目はさらに世間の風向きも厳しいものであった。“初犯”の際に「1回くらいは許しなさい」と夫婦仲を取り持ったのが、あの和田アキ子だというから、彼の身が案じられる。そんな先が思いやられる報道を打った『NEWSポストセブン』が記事につけたタイトルは、

安田美沙子、夫が2度目の不倫も「私も一緒に謝る」発言》

 である。いったい安田が何を謝るというのだ、という話だが、記者の直撃取材を受けたS氏が、《奥さんが『次はもうない。もし(2度目の不倫が)世間に公になったら、私も一緒に謝る』とまで言ってくれて……。本当に申し訳ないですし、頭が上がりません》とコメントしたというのだ。

 ここ最近も芸能人の『夫婦問題』が次々と発覚したが、その対応はさまざまだった。

 立川志らくは、「妻が弟子と不倫」という激ヤバシチュエーションにも関わらず、「うちのかみさんは“ファンキーおかみ”と言われているくらいで。酒を飲むとわけがわからなくなっちゃう」と、師匠・談志の落語観よろしく“人間の業の肯定”をしてみせる。かたや、小倉優子は妊娠中に歯科医の夫が“家出”したことに関し、「芸能活動をセーブするように言われた」とコメントを出して同情を買ったが、のちに取材に応じた夫が「そんなこと言っていない」と反論し、風向きが変わってしまった。東出昌大・杏夫婦の不倫にいたっては、「深夜、変装した東出さんが家を覗き込んでいた」と珍報道がなされるなど、一向に解決の気配をみせない。

 つまり、おおよそ芸能界の場合、不倫やトラブルといった問題を収束させるのは、被害者・加害者に関わらずどうリアクションするかという『夫婦芸(=共同作業)』のみせどころなのである。そんなこんなで、安田美沙子はどうか。

「インスタ」で発揮された“時を操る能力”

 彼女はかつて、『ダウンタウンDX』('18年6月)に出演した際、1度目の不倫報道に言及し、「妊婦中やったけど、ちゃぶ台返しみたいにテーブルひっくり返して爆発したんです。ガラスのめっちゃ重たいテーブルを」と発言。そこから携帯チェックも続いたようで、半年目に「携帯見せて」といったところ、「めんどくさっ」と返され、「自分に前科があんのに、どの口が言うとんねん!」と激怒し、スタジオの笑いを誘った。

 そんなエピソードを披露することで“ブチギレママタレ”としての活路を見出そうとしたのか何なのかはしらないが、ここでまさか2度目の不倫報道。次は「包丁を首元に突き立てた」レベルのエピソードを出してくるのかもしれない……と思いきや、今回、安田がインスタグラムに投稿したのはこのようなコメントだった。

《記事についてお騒がせしており申し訳ありません。この件はもう何年も前のことで夫婦の中で解決しました。たくさん話し合いましたが、私には主人が必要ですし、何より子供達のパパには、彼しかいないと思っております》

 といったものだった。凪のように穏やかな文言に、逆に「どの口のやつがこれ書いとんねん」とツッコミたくもなるが、このコメントは、単にキャラのトーンを変えてみたというだけでなく、“新しい試み”がなされていることがわかる。

 それが、冒頭の《もう何年も前のことであり》発言である。確かに『セブン』の記事には、《お子さんが生まれてしばらくして、“本気の交際”に発展》と具体的な時期は明かされていないのだが、テレビで夫のケータイをチェックをしていた時期が'18年の6月な時点で、“もう何年も前のこと”ではないだろう。しかし、それをそう言い切ってしまうことで、事態の収束をはかろうとする新手の手法だ。つまり、“時を操る特殊能力”の発動であり、「もう解決しているのになに、昔のことを掘り返してはりますのん?」というわけだ。

 そして文末も、マスコミに対し、「過去のことで解決しているのでこれ以上お答えすることはない」といったかたちで再度“過去形”を強調し、締められている。これ以上ツッコませない“時をかける”幕引きであった。これだけの対策を施しても、週末の『アッコにおまかせ』で和田アキ子がメチャクチャ旦那に怒りだしたら全てが台無しになるわけだが。 

 このように、芸能人の夫婦にまつわるスキャンダルには『夫婦芸』がつきものなのだが、それの最高峰は'14年、ダウンタウン浜田雅功の不倫疑惑が報じられた際に妻・小川菜摘が出したコメントだ。

彼は羽目を外し過ぎ、伸ばし過ぎた羽根を、家族にバキバキに折られ、その羽根をそっと畳み、意気消沈ゴリラになっています。そんな彼を、私達は変わらず笑顔で支えて行こうと思っています! 我が家は大丈夫です! これからも浜田家を温かく見守って頂ければ幸いです

 これ以上のコメントはないだろう。芸能人の「不倫コメントアンバサダー」として活動できるレベルではないか。

〈皿乃まる美・コラムニスト〉