田中さんが受けた性暴力と2次被害の流れ
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『べてぶくろ』での2次被害について、これまでに田中さんは、当事者研究に関心を寄せる研究者や社会活動家らに手紙などで相談してきた。しかし、返事はほとんどなく、問題だと認識した人は少数で、ますます孤立感を深めた。

「そんななかで私を支えてくれたのは、知り合った、性暴力被害を受けた人たち。その出会いに助けられました」

 一連の被害について、田中さんは'20年5月、文章などを投稿できるウェブサービス「note」に告発記事を書いた。トラウマとなった出来事を思い返すのは苦しかったが、うつに陥りながらも、ようやく整理ができたと話す。

「精神的な調子にも波があり、時間がかかりました。早く忘れて楽になりたいという気持ちもありましたが、何が起きたのか広めて知ってもらわないと、また繰り返し起きてしまう。私のような被害者を出したくない──、その一心でした」(田中さん)

 一方、『べてぶくろ』では、田中さんが「どうして怒っているのか」に注目した話し合いが行われてきた。参加者のひとり、土谷隆司さん(30代=仮名)はこう話す。

「話し合いに参加していたころは、性暴力被害の重要性に気づけなかったんです。田中さんさえ許せば、『べてぶくろ』がよくなるんだと思っていました」

 実は土谷さんも、『べてぶくろ』と関連のある団体で働いていたとき、残業代が支払われなかった問題を「note」で告発している。

「長時間労働で(べてぶくろ側と)対立したとき、“どうして怒っているの?”と言われ違和感を持ちました。田中さんがされたことと同じだと思っています」(土谷さん)