仕事探しにハンデがありそうなシニア層や主婦層でも、意外や意外。積極的に採用する企業が実は増えている。

“座り仕事”はハードルが高い

「主婦業をしっかりやってきた実績は、仕事探しでアピールポイントになります」

 と話すのは、中高年向け求人サイト『マイナビミドルシニア』の山田周右さん。掃除、洗濯、炊事、子育てなど主婦業はマルチタスクで、手際よくこなすための方法を日常的に考えて作業を進めなければならない。加えて、ご近所付き合いや学校のPTAなどで、コミュニケーション能力も必要とされる。

「採用側にとっては、効率的に業務を進め、職場の人ともいい関係を築けるだろう、という安心感があります。中でもおすすめなのが、配送系、スーパー、介護職です

 新型コロナ禍でネット通販利用者が増え、商品の仕分けや発送作業を行う軽作業の募集が活況。24時間稼働している職場だと、朝だけ、夜だけといった自分の都合に合わせて勤務の時間帯を選びやすい。

「ママ友の口コミをきっかけに、誘い合って和気あいあいと働いている方もいます」

 スーパーやコンビニは、自炊や中食(なかしょく)の増加で人材不足に。

「スーパーの新しい店舗ができるときは、特に狙い目。募集人数が多いので、レジ、品出し、調理など、希望の職種につきやすくなります」

 介護職は、介護経験があれば志望動機に説得力が増す。

「社員採用も活発なので、将来的に正社員を目指す方にもおすすめです」

 一方で、人気のため倍率が高いのが一般事務だ。

「事務職の経験がある、デスクワークで無理なくできそうなどの理由から常に倍率が高く、1名の枠に100人を超える応募があることも。ビジネス文書を作るのに慣れているなど何か特技がないと、難しいかもしれません」

 同じくコールセンターも多くの応募が集まるというが、

コミュニケーション能力を求められるので主婦は有利。大手なら研修やマニュアルがしっかりしているので、未経験でもチャンスはあります」

 選択肢が多いのはうれしい反面、どう選べばいいか迷ってしまう面もある。

仕事を探すうえでいちばん大切なのは希望条件を明確にすること。求める収入額、残業やノルマの有無など譲れない点を整理して選べば、納得のいく仕事に出会えます」