70代以上のネット利用者は7割以上、スマホ決済が広がり銀行の利用も株取引もネット化が進む昨今。持ち主が死んでしまった後、残されたデジタル機器のデータをめぐって、さまざまなトラブルが発生するケースが増えているという。備えあれば憂いなし! たった1分でできる対策をチェックしておこう。

相続されるべきお金が
放置されてしまう可能性も

 お金の管理から、重要データの保存など、今やデジタル機器は、老若男女、すべての人にとってなくてはならない存在。それゆえに注意したいのが、ある日、命が尽きたとき、その中身をどう遺族に引き継ぐかということ。

スマホやパソコンが開けないと、まず困るのが葬儀です」

 と話すのは、日本デジタル終活協会代表理事で弁護士の伊勢田篤史さん。遺影用の写真や葬儀の連絡先などすべてスマホの中で、葬儀の手配ができない……なんてことが起きるのだ。

 また特に注意したいのが、故人がネット銀行やネット証券を利用していた場合。契約や取引の書面は電子データでやりとりすることが多く、紙の書類はほぼゼロ。家族に何の情報も伝えていないと、遺族はその存在にすら気づかず、相続されるべきお金がごっそり放置されてしまう可能性が出てくる。総務省の情報通信白書(2020年版)によると、60歳以上でインターネットの利用目的が「金融取引」と答えた人は15・9%にも及ぶ。「うちはどうなの?」と、ぜひ確認をしておきたい。

「“○○ペイ”などの電子マネーも見落とされがち。最近では政府より、給与デジタル払い解禁の方針も示されたことが話題となりました。扱う金額も大きくなるので、今後ますます注意が必要ですね」(伊勢田さん)

 加えて心配なのが、さまざまなアプリの使用料やクラウドサービスの定額支払い、動画配信サービスなどの引き落とし。ネットの活用頻度が高い人ならば、トータルで月々数万円を支払っている人も少なくない。スマホの月々の契約料金やサブスクコンテンツなども、解約しない限りは引き落とされ続ける。

「利用規約にもよりますが、遺族が契約を止めるか各サービスに契約者が亡くなったと報告しない限り、料金は引き落とされてしまいます。遺族が“契約の存在を知らなかった”と主張しても、返金を受けることが難しいケースがあります」(伊勢田さん)