言葉巧みにママ友を“洗脳”し、子どもを虐待死させた「5歳児餓死事件」が世間に衝撃を与えている。そこで考えさせられた。「女友達」とは何なのかーー。(コラムニスト・吉田潮)

「たったひとりの親友」は危険

 ネットの見出し「胸腺萎縮」が目を奪った。昨年福岡で起きた5歳児餓死事件だ。5歳の男の子が母親である碇利恵容疑者とそのママ友・赤堀恵美子容疑者から虐待を受けて亡くなったという。事件の経緯が報道され、余計に目が離せなくなった。なぜなら女友達について考えさせる事件だったから。

「友達は数多ければいいというものではない。何でも話せる親しい友人がひとりいれば」なんて思っていたけれど、「たったひとりの親友」も危険だと考え直した。

 保護責任者遺棄致死容疑で逮捕されたのは男児の母親と、そのママ友。母親によれば、そのママ友の指示に逆らえなかったという。子どもの幼稚園で知り合ったふたりは仲よくなるが、ママ友はありもしないトラブルを吹き込んだ。

「ママ友があなたの悪口を言っている」

「あなたの夫が浮気をしている」

 信用しきった母親は、裁判費用や浮気調査費用をママ友に託した。その額は1000万以上。さらに夫とも離婚してしまう。その後、母親が受け取る生活保護費や児童手当、児童扶養手当など、毎月約25万円をママ友に搾取されていたという。男児に食事を与えず、餓死させた後も、母親に携帯電話を壊すよう指示したママ友。恐怖による支配のやり口は、尼崎事件(2012年に発覚した連続殺人死体遺棄事件。複数の家族が監禁、虐待され、多くの被害者を出した)の主犯格とされる角田美代子をほうふつとさせる。

 母親は調べに対し、「洗脳され、ほかに頼れる人がおらず、肉親のように思ってしまった」

 と供述。たったひとりのママ友に、人生とわが子を奪われた彼女を一概に責めることはできない。言葉巧みに洗脳されたというのもわからんでもない。「仕事がうまくいかない」「夫や恋人とうまくいかない」「子育てに疲れている」など、ちょっと心が弱っているときに、強い口調で周囲を圧倒する女が寄ってきたら「頼もしい人」と勘違いしてしまう。

 もともとこの母親は人の顔色をうかがい、空気を読んで自己主張をしないタイプだったようだ。一方、ママ友はクレーマーとして有名だったらしい。

 推測だが、他人に気を遣って同調することを心がけてきた女にとって、がさつで言葉は汚いが、強く自己主張をする女は頼もしく見えたのかもしれない。たとえそれが正しくなくても、自分には到底できないことを堂々とやってのける姿に憧れを抱くという構図もあったのではないか。