「子どもの連れ去りを違法化します」

「2021年1月5日、裁判所から将棋連盟に差し押さえ請求が届きました。“支払いを拒んでいる婚姻費用を支払え”と。連盟から見舞金で毎月24万円をもらっていましたが、半分取られるようになり、家賃も支払えなくなった」

 同じ時期、橋本さんの代理人でさえ、“(勝ち目がないから)親権は相手方とする”という書面を用意していた絶望的な状況だったが、

「自分から諦めてはならないと感じました。息子のために、棋士を辞めてでも死んでも闘う。親権を争いたいと、弁護士に伝えました」

 現在の法律では子どもを取り戻せないと悟った橋本さん。引退直後から、SNSなどで『子どもの連れ去り問題』について発信を始めた。

「想像以上の反響で驚きです。同じ悩みを抱える方からも多くのメッセージが届きました」

 中には夫に子どもを連れ去られた女性もおり、

「夫は浮気相手の女性のもとで子どもと暮らしているようです。裁判所は“一緒に過ごせているから問題ない”と追認している。お腹を痛めて産んだ子を奪われた母親がそんなことされたら、どう思います? 精神的リンチですよ」

 そう憤る。今後の取り組みとして橋本さんは、

「問題を世間に訴えて、子どもの連れ去りを違法化します。今の法律では絶対に息子を取り戻せませんから」

 と意気込む。

 社会問題となっている連れ去り問題だが、解決はできないのか。弁護士法人グレイスの茂木佑介弁護士によると、

「子どもの連れ去りは連れ去った側が有利というのが現状。連れ去りを禁止する明確な法律がないので、違法と判断されることはまれです」

 としたうえで、

「1人で子どもの面倒を見ていた人が、暴力はふるわれていなくても精神的苦痛に耐え切れず、すぐに家を出たいとなったとき、連れ去りを違法にすると、子を置いていくしかなくなります」

 連れ去られた側の苦痛も甚大。早急な改善が必要だ。