『おしん』『渡る世間は鬼ばかり』など、数々の名ドラマを手がけた、不世出の脚本家・橋田壽賀子さんが4月4日に亡くなった。95歳だった。

 代表作のなかでも、1983年の4月から1年にわたって放送されたNHKの朝ドラ『おしん』は、62・9%という驚異的な視聴率を誇った。明治・大正・昭和の時代をたくましく生きた女性「おしん」の波瀾万丈の物語は、多くの視聴者の心をつかんだ。2019~2020年に再放送された際は、リアルタイムで見ていない若い世代からも支持を集めた。

 再放送で“おしん再ブーム”が到来した昨年の4月、橋田さんは週刊女性のインタビューで作品への思いを語ってくれた。

「激動の時代を生きてきた、明治生まれの女性の人生を書きたい、書かなければならないという使命感に突き動かされました」

 また、自分の人生をふり返り、

私自身、ひとりっ子で早くに両親を亡くしたため、血のつながりの有無にかかわらず、人と人とが信頼を寄せあうという関係にずっと憧れていました。愛情さえあれば、他人同士でも立派な絆がつくれるということを描きたかったんです」

『おしん』だけでなく、ほかの作品にも、橋田さんならではの感性が反映されている。時代を問わず、「女性の主人公が懸命に苦難を乗り越えていく姿」が、視聴者の心に深く響いた。ドラマの登場人物に自分を重ね合わせ、励まされた人々も少なくないはずだ。

読者が選ぶ「印象に残る橋田作品」

 このたび週刊女性では、橋田壽賀子さんを追悼して、40歳以上の読者600人に緊急アンケートを実施。「橋田作品でいちばん印象に残っている作品」とあわせ、作品に対する思いも聞いた。橋田壽賀子ファンのライター・成田全さんとともに、橋田作品から学ぶ「女の生き方」を、改めて振り返ってみたい。

 アンケートの1位に輝いたのは、『渡る世間は鬼ばかり』! 岡倉夫妻とその5人娘に降りかかる日常のさまざまな出来事をつづった、国民の誰もが知るホームドラマだ。

 アンケートに答えてくれた読者の声からは、

「私自身も嫁姑問題を抱えていたので、身につまされたことを思い出す」(北海道・主婦)

「姑にいじめられる娘、そんな娘の肩を持つ母親、黙って見守る父親という家族の姿を、わが家族に置き換え、涙ながらにドラマに夢中になりました」(東京都・主婦)

「嫁姑の関係に悩む、五月さんの気持ちがよくわかります。それに、私の父も商売をやりたいと言いながら結局その夢が叶うことなく亡くなってしまいました。忘れられない出来事です」(東京都・パート)

 やはり、泉ピン子演じる岡倉家の次女・五月に感情移入する人が多いことがわかった。