多くの女性たちが持っているやせ願望。だが、無理なダイエットがいつの間にか摂食障害になってしまうケースも……。特に『まじめな優等生タイプ』ほどその危険度は上がるという。

「子どもが摂食障害、拒食症になると知らない人が多いことを危惧しています。大人と同じような摂食障害で身体を壊す10代の子どもたちが増えています。安易なダイエットはしてほしくない」

 そう話すのは子どもの摂食障害に詳しい作田亮一教授。

 10代、20代で発症することが多く、女性の割合が高いが年齢、性別など問わず誰でもなる可能性がある病だ。

「やせて可愛くなりたい」、それだけが原因ではない。

「まじめで頑張り屋という共通点があります。成績もよくてスポーツもできるんです。なのに自己評価が低い。満たされないものを何かで補おうとする。それがダイエットになるんです。やせると達成感が得られるためにどんどんはまる」(作田教授、以下同)

 ほかにも「学校給食を残してはいけない」と言われたことで食べられなくなってしまうケース。バレエや陸上など体重制限があるスポーツでやせすぎるケースもあるという。

「学校、友達関係、いじめ、家庭の問題もあります。幼児期の家庭内でのトラウマ、性的、心理的な虐待の場合もあります。バックグラウンドは非常に多岐にわたっています」

 芸能人やスポーツ選手にも少なくない。

「自分の体形に対する認知が歪み、やせているにもかかわらず自分は太っているとか脚が太いと思い込み、やせようとします。10代の場合、過食をして吐くことは少なく、徹底して食べないなどでやせていく特徴があります」

 最近では小学校3年くらいから症状が出てくることが報告されており、特に中学生に目立つようになってきた。

「これまでは摂食障害で当センターを受診する小中学生は年間20~30人ほどでしたが、昨年は倍。新型コロナウイルスが間接的に影響していることは間違いありません」

 外出が制限され、コロナ太りや運動不足が社会問題になり、ダイエットが注目された。

「休校中に親や友達とダイエットを始め、気がついたら病気になっていたと受診するケースが多かったんです。学校生活も部活も中途半端。環境の変化によるストレスも影響があったと考えられます。コロナ禍ですっかり変化した社会の状況に子どもたちが影響されたことは一目瞭然です」