10月4日発売の『週刊プレイボーイ』が55周年の特別企画として、山下智久を表紙とグラビアで起用し話題を集めた。撮影したのが女優の二階堂ふみということも、さらなる注目を集めている。

 説明するまでもないが同誌は集英社が発行する男性向け週刊誌。前号は白いビキニの大原優乃、前々号もやはりビキニ姿の井本彩花と、いつもは女性タレントや女優の水着や肌の露出が多めの着衣グラビアが表紙を飾るなかで異例の山下起用。実際、“グラビア連動の表紙”を男性タレントが飾ったことは、55周年という長い歴史を誇る同誌の創刊以来はじめてのことだという。

『週刊プレイボーイ』のWEBページで近年の表紙を確認したところ、過去160号のうち、女性タレントや女優以外が登場する表紙を確認できたのは、

井上尚弥('20年10月26日)
・キン肉マン('20年8月17日、19年5月20日号)

 のみ。

 ほかにも実在の女性ではない『鬼滅の刃』の女性キャラクター・竈門禰豆子が表紙を飾った号があるが('21年7月12日発売号)、これは禰豆子を演じる声優の鬼頭明里との「ツーショット」扱いのもの。

新しい読者層へのアプローチ

「プロボクサーの井上尚弥は男性ファンが多いということはありますが、集英社からカレンダーが発売され、それとの連動という事情もありました。キン肉マンは、もともと週プレWEB版で人気の連載で、それが本誌掲載もされるようになった看板のひとつで読者人気も高い。つまり周年や新シリーズスタートなどの節目での表紙ということになります。週プレでは過去に松本人志さん、坂東玉三郎さんが表紙を飾っていますがグラビアはありませんでした。今回の山P表紙は、週プレと山Pそれぞれにとっての新たな挑戦を感じます」

 と、あるスポーツ紙の芸能記者は言う。

 2018年以降、主要なコンビニでは条例によりヌードグラビアなどが掲載されている成人雑誌が取り扱えなくなった。かつて週プレにも、そのようなページが掲載されていたが、時代の流れか現在は掲載していない。前出の記者がいう「新たな挑戦」とは「女性読者拡大」の狙いもあるのではと分析する。

「井上尚弥やキン肉マンは、従来の週プレのメイン読者が好きな対象です。山Pも、男性ファンはもちろんいるとは思うのですが、こういった類とは異なる存在ですよね。二階堂ふみさんによる山Pの美しいショットは、むしろ女性読者に手にとってもらいたいような仕上がりですね」(同前)

 雑誌の世界はネットの浸透とともに、業界全体が売り上げ減少の傾向が続いている。紙媒体が“あの手この手”で、なんとか利益をあげる施策を考えているのはどこの社も同じだろう。

「週プレは特集記事や連載コラムも独自の切り口があり、読んで面白いものが多い。いつもの読者には“たまたま今回の表紙が山P”だけだったに過ぎないが、山Pの魅力を知ることができる。また、山Pファンには手に取ってもらうことで週プレの存在を知ってもらえる。“55周年記念”という、チャレンジしやすい名目があるこの時期に、いろいろと将来にむけてのチャレンジを仕掛けてくるのではないでしょうか」

 表紙と雑誌の売り上げの関係は、販売部数が減少している昨今、これまで以上に重要な要素になっている。最近の雑誌の表紙について、ある出版関係者は「圧倒的にジャニーズタレントが多い!」と指摘する。

「ジャニーズの天下といっても過言ではありません。女性ファッション誌、週刊誌のジャニーズ登場率はものすごく高い。テレビ誌なんて、もはや番組表が載ったアイドル誌状態です」

 と、ジャニーズや元ジャニーズが表紙を飾ることで売り上げも左右するという。ファンの購買力に業界が支えられているということだ。

 そんななかでの、元ジャニーズ山Pの週プレ登場。

「山P表紙で部数に変化が見られたら、今後、本格的にジャニーズ系の表紙計画が進むかもしれませんね。新しい地図、長瀬智也、赤西仁など男性人気も高そうな辞めジャニタレントの起用も考えられます。発行元も集英社はアイドル誌『Myojo』も出しているので、パイプは太い。アイドル誌とは違うアプローチでの展開が期待されます」

 キンプリやなにわ男子が『週刊プレイボーイ』の表紙を飾ったり、特別編集の写真集が発売される日も遠くないかもしれない。

〈取材・文/渋谷恭太郎〉