彼女が風俗で働いたり売春をする理由は、学生生活を維持するためだ。1年生から続けるスーパーマーケットでのアルバイトは、現在も継続する。大学を優先すると、1日4時間週2~3日働くのが限界。時給920円、月収4万~5万円程度にしかならない。

 父親は数年前にリストラ、両親は非正規の共働きだ。世帯収入はせいぜい500万~600万円程度。弟2人もいるので「高校と大学、私立は絶対に無理」と母親に言われて、小学校時代から必死に勉強して高偏差値をキープする。

 国立大学なので医学部でも学費は高くはない。入学金28万2000円、年間授業料53万5800円は日本学生支援機構の奨学金を借りる。学費はすべて奨学金で賄い、そのほかの費用はアルバイトで稼いでほしいというのは両親の意向だ。実家からの通学でなんとかなると思ったが、体育会系の部活に所属したことと、教科書や雑費が予想以上に高額で、時間とおカネが足りなくなった。

金持ちになりたくて勉強した

「うちは貧しいと思います。お母さんが高卒で苦労して、家が貧しいから自分はおカネ持ちになりたいなって。小さいときからずっと勉強はしていました。貧しいと気づいたのは友達の家とか行って、明らかに自分の家が汚いとか、持っているものとか洋服が周りの子のほうがいいものを買ってもらっているって。お母さんは塾のおカネだけは払ってくれた」

 地元のトップ公立高校に進学し、ある部活に入った。高校3年のとき、都道府県ベスト4までなった。達成感があり、大学でも部活は続けたかった。夏に引退してから寝る間を惜しんで必死に勉強し、国立大学医学部に現役合格。体育会系のある運動部に入部した。

「部活におカネがかかっています。大学の人たちはみんな中学からの私立出身。家の裕福さは全然違う。みんな部活のおカネは親からもらってくる。私はアルバイトで4万~5万円しか稼げなくて、部活にはそれ以上がかかる。母親に“出して”って言うと、出してくれたとしても、3回ぐらい頼んで嫌々。貧乏だから快くは出してくれない。おカネの話をするとすごく嫌な空気になる。遠征とか大会とか、いろいろ重なって。もう風俗みたいなことしかないかなって。それが1年生の夏休みです」

 大学は朝9時の1限から。部活は夕方から週2~3日ある。アルバイトは部活のない日にしかできない。大学同級生や部活の仲間、高校時代から付き合う彼氏は全員が中流以上の家庭で、経済的な苦境は誰もあまり理解してくれない。

「バイトを増やすと勉強する時間がなくなって、留年しやすい。大学は厳しいので留年したら本当に元も子もない。もう1週間全部埋まっていて、ただでさえ忙しいのに、さらに時間をできるだけかけないでおカネを得るとなると、どう考えても風俗しかないです。テレビとかで、そういう仕事があるのは知っていました」

 大学1年の春、教材費がかさんだうえ部費を払わなくてはいけなかった。どれだけ節約しても3万円が足りない。悩みに悩み、高額求人サイトを閲覧した。性体験がまったくないので不安しかなかったが、もうカラダをおカネに替えるしか手段がなかった。思い切って応募した。すぐに採用された。