息子で歌手の勇気

 7月21日、肺炎のためこの世を去った作曲家の平尾昌晃さん。2年前から肺がんを患い闘病生活を続けていたが、21日に容体が急変し帰らぬ人となった。

「'15年8月に肺がんが見つかったとき、平尾さんは聖路加病院に入院していました。その年の大みそかは病室からNHKの紅白へ出場し、また病院に戻ったそうです。体力的にはかなりつらかったと思うのですが、舞台では気弱な姿は決して見せませんでしたね」(テレビ局関係者)

 これまでも、メディアの取材には積極的に応じていた平尾さんだが、病気のことや私生活について自ら語ることは少なかった。それだけに、4年前に50代の一般女性Mさんと再々婚していたことが亡くなった直後に明らかになったことが、波紋を広げている。

平尾さんは'72年に一般女性A子さんと結婚し長男をもうけますが、'76年に離婚。その後、'78年に元歌手の小沢深雪さんと再婚し、男の子が2人誕生しましたが、'85年に離婚しています。そして、20年近く個人事務所のスタッフだったMさんと、'13年に入籍。“内縁だから”と彼女を紹介されたことはありましたが、まさか再々婚していたとは……。知っていたのは、ごく限られた人だけだったようですよ」(芸能レポーター)

 “3人の息子”と入籍が明らかになった“再々婚妻”。両者の間で遺産争いの火種がくすぶっていることを真っ先に報じたのが7月25日付の『スポーツニッポン』だった。《遺産騒動 心配の声》と題し莫大な遺産がトラブルに発展する可能性があるとしている。

莫大な遺産は全部で10億円ほどか

「平尾さんはミュージックスクールを経営しており、過去には畑中葉子や松田聖子、最近では倖田來未などを輩出。各地に教室があり、かなり儲かっているようです。

 また港区の自宅マンションは資産価値が2億円以上と言われ、数年前には都心の一等地にMさんの家族を住まわせるために27階建てのマンションの最上階近くを2億円近くで購入しています。

 また、信州にも別荘があるそうで、以前に名義を“面倒みてもらっている女性に譲る”と話してました。預貯金なども合わせたら10億円くらいはあるのではないでしょうか」(音楽関係者)

 だが、それ以上に価値があるものがあるという。それは、平尾さんが作った楽曲の著作権だ。布施明の『霧の摩周湖』や五木ひろしの『よこはま・たそがれ』。小柳ルミ子の『瀬戸の花嫁』など、大ヒット曲は枚挙にいとまがない。

「著作権は著作者の死後50年間は保護されることになります。最近でも、平尾さんの楽曲の印税は年間で1億8000万円ほど支払われていると思いますよ」(前出・音楽関係者)

 巨額の遺産の行方が注目される中、息子で歌手の勇気が7月27日の『バイキング』(フジテレビ系)に出演。父親と再々婚したMさんについて聞かれると、“お母さん”と呼び、

「父が体調悪いときも、ずっと看病してくださった……」

 と、感謝の言葉を述べた。

50代・Mさんとはどんな女性なのか

八丈島で『カナダからの手紙』をデュエットした畑中葉子と('78年)

 では、この50代のMさんとはいったいどんな女性なのか。平尾さんと親しいある歌謡界関係者はこう話す。

先生から直接、入籍したことは聞かされていませんが、2年くらい前に籍を入れたというウワサは耳にしました。Mさんは細身で派手な顔立ちの美人で、テキパキと仕事をこなす。もともとはスクールの生徒だったそうです。

 料理や体調管理はもちろんのこと、お金や実印の管理など、先生に関わるすべてのことはMさんが仕切っていました。'04年に勇気さんがデビューしてからしばらくは、父と共演することがなかったのですが、どうもMさんが先生のところに来る息子との共演オファーを断っていたって話ですよ」

 そこまでされながら、勇気はどんな気持ちで感謝の言葉を述べたのだろうか……。

「7月29日、30日の葬儀が終わるまでは、勇気さんとしてもモメていることは表に出したくなかったのでしょう。

 でも、本心としては面白くないと思っていますよ。だって、自分の生みの親は1円ももらえないのに、たった4年間の結婚生活しか送っていない今の奥さんが財産を半分持っていく。彼は“あの女だけは許せない”って、周囲に話していますよ」(芸能プロ関係者)

 遺書がない場合の法定相続分は妻が2分の1。子どもが残りの2分の1を等分することになり、3人の子どもは遺産の6分の1ずつを相続する計算になる。だが、著作権となると、話はそう簡単ではないようだ。遺産相続に詳しい『弁護士法人・響』の西原和俊弁護士によると、

「印税に関しては著作権がどこにあるのかがポイントです。ひとつは平尾さん自身が著作権を管理していて印税が入っていた場合でしたら、土地などと同じように遺族に相続されることになります。そうなると、遺族全員で著作権を共有ということになり、印税についても同じ割合で分け合うことになります。

 もうひとつは、事務所が著作権を所有している場合です。そうなると、平尾さん自身に著作権はないので、事務所がこれまでどおり管理し、印税も事務所に入ることになります。おそらく平尾さんは自分の会社の株をお持ちでしょうから、遺族が相続することになります。

 ただ、現在の経営陣がいますので、株を相続した子どもたちがすんなり取締役になれるかというと、それはまた別問題です。登記簿を見ると、奥さまは役員になっていますが、子どもたちの名前はありません。株を相続しても、彼らが会社経営を受け継ぐというのは難しいと思われます」

 著作権は事務所が所有している可能性が高い。となると、役員であるMさんが印税の行方を握っているようだ。

息子たちは財団を作って著作権を家族みんなで管理することを提案しているそうですが、Mさんとしては受け入れがたい。というのも、遺言状で著作権は彼女が管理できるようになっているそうなんです。

 平尾先生に終活を始めるようにすすめ、籍を入れたり先生に遺言状を書いてもらったりしたんでしょうね」(前出・芸能プロ関係者)

 すでに水面下で始まっている骨肉の争い。当事者たちはどう考えているのだろうか?

息子の勇気に話を聞くと

 まずは、息子の勇気に話を聞いてみた。

─遺産相続でモメているという話が出ていますが?

今は父を安らかに送り出すことだけを考えていますので、まだ遺産の話などはいっさい、平尾家の中で出ていないんですよ。いろいろ言われてしまうのは、やはり、父の名前が大きいからでしょうね

─再々婚のことはお父さまから報告があったのですか?

そうですね。(いつ聞いたのかは)ちょっとごめんなさい。答えられないです

─勇気さんがMさんのことを“許せない!”って話していると聞いたんですが?

うーん……。ノーコメントでお願いします

 と、否定はしなかった。

 一方のMさんにも話を聞こうと携帯電話に何度も連絡をしてみたが、話をすることはできなかった。妻と息子たちの間でくすぶる争いの火種。

 平尾さんは天国からこの騒動をどんな思いで眺めているのか─。

※西原和俊弁護士のコメントの表現を一部修正しました(2017年8月1日14時15分)