攻撃的ではないが、訪れたチャンスは逃さず飲み込む。食虫植物“ウツボカズラ”のように、したたかに生きる女を演じる志田未来。志田のイメージを一新するような役柄などキャスティングへのこだわり、痛快エンタメ作品の見どころを『ウツボカズラの夢』(8月5日スタート フジテレビ系 土曜夜11時40分~)のプロデューサーが激白。

『ウツボカズラの夢』でドラマ主演作10作目となる志田未来 (c)フジテレビ

大塚、ドラマ主演10作目&こだわりのキャスト

 自らは動かず、獲物の欲望を利用して目的を遂げる食虫植物のウツボカズラ。今作のヒロインは、そんなウツボカズラのような18歳の少女、未芙由(みふゆ)だ。原作は直木賞作家、乃南アサの同名小説。未芙由を演じる志田未来は、ドラマ主演作10作目にあたる今作について意欲的だ。

「今まで演じたことのない役柄ではありますが、新しい自分をお見せする気持ちで頑張ります」(志田)

 制作した東海テレビの松本圭右プロデューサーは、原作が上梓(じょうし)された9年前から、映像化したいと考えていたという。

「ドラマ化が決まり、改めて原作を読み返したとき、僕の頭の中では志田さんが未芙由として動いていたんです。志田さんには、“今まで培ってきたものを100だとしたら、200の志田未来でお願いします”と、依頼しました。撮影が始まると、希望をはるかに上回り、500くらいの力を見せてくれています!

 例えば、百面相どころじゃない未芙由の表情の変化を見ているだけでも、1時間はあっという間だと思います。微妙なニュアンスの演技など、まだ何か出てきそうだと、末恐ろしい気持ちで、毎日撮影しています(笑)」

 母の死後、父とその愛人に家を追われた未芙由は、母の従妹である鹿島田尚子の家に身を寄せることに。未芙由は、望んでも手に入れることができない富に恵まれた鹿島田家の暮らしぶりを目の当たりにし、世の理不尽さを感じる。

未芙由は、尚子の申し出で、裕福な鹿島田家に身を寄せることに (c)フジテレビ

 そして、鹿島田家の中に自分の居場所を求め、“ウツボカズラ女”と化していく──。

 お嬢さま育ちの専業主婦の尚子役に、大塚寧々をキャスティングすることにもこだわったという。

「行動に理屈を伴わないというか、その瞬間、瞬間で生きているような尚子は非常に難しい役どころです。演者によっては説得力がなくなってしまうと危惧していました。包容力のある大塚さんが演じてくだされば、尚子は生きた人物としての説得力があると確信し、無理を言ってお願いしました」(松本P、以下同)

 未芙由と尚子のほかにも、尚子の友人で夫に逃げられたセレブ妻(国生さゆり)、計算高い不倫女、妊娠で妻の座を得た女たちが登場。さまざまな女たちが幸せを求めて生きる姿を丁寧に描いている。彼女たちの中で勝者となるのは、いったい誰?

 オリジナルキャラで尚子のボランティア仲間(松本利夫)にも注目という。

大塚寧々、志田座長を補佐。ダメ男たちも見どころ

 原作者の乃南が激励に訪れ、さらに熱の入った撮影現場。ムードメーカーになっているのは、大塚。

「志田さんはオンオフがしっかりした方で、カットの声がかかると、24歳のふつうの女の子に戻ります。演技に集中することで、背中で座長の責任感を見せている感じです。大塚さんはスタッフにも和やかに接してくださり、引っ張ってくださいます。大塚さんが現場の空気を作り、志田さんが演技で引っ張る。この2つで成り立っている現場だと実感しています

 鹿島田家での居場所を求める未芙由がどんな行動をとるのかが気になるが、尚子の夫・雄太郎(羽場裕一)や未芙由の実父のダメ男っぷりも隠し見どころ。

「ツッコみながらお楽しみください! 演じている羽場さんもいろんなパターンを考え、楽しみながら演技しています。第1話のラストに、未芙由と雄太郎のシーンがあるんですが、雄太郎の表情の変化は、秀逸。僕も監督も男性ですが、モニターを見ながら“ダメだこりゃ”と、思うくらいでした(笑)

尚子の夫・雄太郎のダメ男っぷりに、未芙由は…… (c)フジテレビ

 ドロドロ愛憎劇、ハラハラドキドキが得意な東海テレビの作品だが、今作は、それらの要素に、ワクワク感がプラスされている。

「振り切って痛快エンタメに仕上げています。日常でたまったストレスを吐き出していただき、視聴後はスッキリ眠れる作品に仕上がっていますので、お楽しみに」

【豆知識】ウツボカズラとは
タイトルになっているウツボカズラは、東南アジアに広く分布する植物(※写真ページ参照)。いちばんの特徴は、捕虫袋がついていること。劇中にも、鹿島田家で育てているウツボカズラが登場するが、栽培は意外に大変なよう。
「しおれないよう、スタッフ一丸となって世話をしています。一見、奇妙な植物ですが、“キモカワ”じゃないですけれど、見ているうちにクセになるんですよ(笑)」(松本P)