毎日モヤモヤしている、ついていない、変わりたい……。誰しもが持つ人生の悩みは、一瞬で消すことができる。そして、思うまま最高の自分に変わることができる。その方法を指導しているのが、久瑠あさ美さん。人生をバラ色に変える魔法の切り替え方法「マインドスイッチ」とは?

久瑠さん 撮影/干川修

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 今の人生に満足していない。なんとか変わりたい……。

 そう考えたことがある人は多いだろう。

 しかし、「自分の人生は自分でバラ色に変えることができる」と言われたら、あなたは信じられるだろうか?

「人生は確実に自分の心次第で変えることができます。それはまだ、みなさんが知らないだけです。人間は誰しもが心に持っている“マインドスイッチ”を押すことで、自分の人生を好きなように選び生きることができるのです」

 そう語るのは、メンタルトレーナー・久瑠あさ美さん。米メジャーリーグで活躍し、今季からは福岡ソフトバンクホークスに所属しているプロ野球の川崎宗則選手や、名古屋場所での活躍も印象深い小結・嘉風関、女子ゴルフの金田久美子選手といった一流アスリートをはじめ、5万人の心と向き合い“マインドスイッチ”を押し、人生を輝かせてきたスゴ腕メンタルトレーナーだ。

 久瑠さんが行うのは、その人の「潜在意識」に働きかけて、「潜在能力」を引き出すトレーニングだという。最近、「潜在能力」というキーワードをよく耳にするが、それを十分に発揮するためにはまず「潜在意識」にアプローチすることが重要なのだそう。

「私が扱う潜在意識の世界というのは『すべてを言語化することは難しいけれど、誰の中にも無自覚な願望があって自分の知らない自分がそこには確実に存在している』という世界。人間には表層意識(顕在意識)と潜在意識があります。表面化されている領域と本人が無自覚な領域があって、無自覚な領域に働きかけなければ変化は起こせないんです。潜在意識のトレーニングにおいて重要なのは、トレーニングした日に『気づかされていないこと』。なぜなら、意識された時点で顕在意識になってしまいますから」。

 潜在意識に働きかけるメンタルトレーニングの効果はまさに「劇的」なのだという。いま自分の人生が輝いていない、つまらないと感じるのは、まだ自分の中に眠る「潜在意識」の持つ力に気がついていないだけ、と久瑠さんは語る。

誰しも潜在意識には、“とんでもなくすごい力”が備わっているんです。本来『変わる』ということは“劇的に変わる”こと以外ありえません。しかし変わりたいと願っているはずなのに、潜在意識が安定を選び『私なんてどうせ変われるわけがない……』とブレーキをかけ『メンタルブロック』が生じるのは、むしろ心のひとつの正しい反応です。人間の心には安定を保つ恒常性(ホメオスタシス)があるからです。自らの人生を輝かせるため、そうした無自覚にかかるブロックをはずす“コツ”=“心の業”には扱い方がちゃんとあります」

久瑠さんの新刊『何もかも思いのままにできる人のマインドスイッチ365の極意』(主婦と生活社刊 1620円・税込み) ※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページに移動します

誰もが持っている“心の武器”とは

 人は誰しも心に“三種の神器”を持っているという。

「~したい」という原動力である「WANT」、その「WANT」の力をさらに高める「イマジネーション(創造性)」、そして心の視点の高さである「マインド・ビューポイント」。この3つを使いこなし、「マインドスイッチ」を入れることで人生は輝き、抱えていた悩みもたちまち消えるのだそうだ。

マインドスイッチは誰もが持っている心と脳の法則なのですが、その法則を知らずに人生を難しくしている人が非常に多いのです。それは交通ルールを知らないで事故に遭うのと同じようなもの。好きなように勝手に運転しても決してうまく走れないでしょう? 『こうしたい。ああしたい』と言うだけでは、うまくいくはずがありません」

 そんな「心の武器」を扱うためには、何気なく行える日々の努力が不可欠だという。

「それはトップアスリートでも、子どもでも同じこと。日々やっていることがすべてなんです。たった1回の本番のために、数え切れないほどの練習を毎日重ねた人だけが、素晴らしい結果を得られるんです

トラウマをやめるという選択が可能

 日々、自分の心と向き合い、心の力を使えば理想の人生が手に入る。それでは、何から始めたらいいのだろうか?

 久瑠さんの最新刊『マインドスイッチ365の極意』では、自らの心と向き合うための“極意”が365項目入ったバイブル的な本になっている。

「日々自分の心と向き合うために何をしたらいいか? という質問をされることが多いのですが、今回の本はその“答え”として作りました」

 365項目の中には、ひと言の「名言」のようなものもあれば、ちょっとした時間にできるワークなどさまざま。言葉を耳でとらえるのではなく、感じとるイメージでとらえることが大切なのだそう。

ひとつのことを学ぼうとするとき、多くの方はとにかくまず知識を得ようとする。すると勉強のための勉強が始まり実践に弱くなる。“まじめ”さが武器になっていないことが多い。それを私はとても残念に思います。何よりひとつの言葉からどれだけ感動を得られるのか、心を動かされるのかが大切。自分自身の心にフォーカスをして、言葉を自分自身のものにできるかどうかは、知識とは別のところで起こります」

 トラウマや心の傷も、潜在意識の力を使えば、自ら立ち直ることができるようになれるという。

「『傷ついた』と認識しているのは表層意識で、潜在意識にアプローチをかければ、今日から立ち直れるんです。トラウマをやめる、という選択をするイメージです。でも表層意識が邪魔をしてしまうんですね。このメンタルブロックをはずすということは、たとえるなら自転車の補助輪をはずすようなもの。絶対に転ばないけど、それをはずすことができるといかに邪魔なものだったかわかるもの。それが潜在意識を使って生き始めるということです。

 どんな自分の心でも受けとめてあげるために、一生のうちたった1年、自分に向き合うことを今回の本と一緒にやってみてほしいんです。他人のおこぼれをもらう人生ではなく、自分自身が主役の人生を、胸を張って輝かせていってほしい。私は、そう願っています

<プロフィール>
くる・あさみ メンタルトレーナー。「フォルテッシモメンタルルーム」代表。日本芸術療法学会会員。日本産業カウンセリング学会会員。日本心理学会認定心理士。アスリートのみならず広く一般のメンタルトレーニングを行う。