横山剣 撮影/廣瀬靖士

「頼まれたライブ2本で終わるはずのクレイジーケンバンド(CKB)が、結成20周年。来年がデビュー20年になるんですが、その前にも20年以上、いろいろなバンドで活動していましたから、こんなに続いちゃって自分でもびっくりです

 そう語るのは“東洋一のサウンド・マシーン”というキャッチコピーがピッタリのCKBを束ねるリーダーであり、作曲・編曲・作詞・キーボード・ボーカルを務める横山剣(57)。

 幼少期から現在まで、多くの時間を港町・横浜で過ごしている剣さんにしか生みだすことができない、ロックでポップでR&Bで、昭和歌謡やアジア音楽も感じる中毒性のあるサウンド。“歌うメロディー・メーカー”による独特な魅力を持つ曲を、同名ドラマの主題歌として大ヒットした『タイガー&ドラゴン』や、CMソングとなった『クリスマスなんて、大嫌い!! なんちゃって♡』などでいちどは、耳にしたことがあるはず。

17歳くらいのときにお会いしたある社長さんが“人がイヤがるものを作りなさい”っておっしゃったんです。当時はわからなかったけれど、CKBをやるようになってから、人がイヤがること=人がやっていないこと、やりたがらないこと、なんだなとわかるようになってきました。ありがたいことに、自分がやりたいことが、人がやりたがらないことだったんです

 300を超えるというCKBの楽曲のほぼすべてを剣さんが手がけている。作曲をするようになったのは、小学生のころ。メロディーが脳内で鳴っていたという。

横山剣 撮影/廣瀬靖士

「いまでも、なぜかわからないんですけど、勝手にメロディーが出てきちゃうんです。小学生のころの夢は“アイドルが歌ってくれる曲とCMソング、そして映画音楽を作る”こと。それが、CKBでぜんぶ実現しました。(10代のころ)作曲家を目指していたときは誰も歌ってくれなかった。順序がどうあれ、念願が叶って“やった!”と思うとともに、作曲家だけじゃつまらないということもわかって、結果、よかったです」

 いまでこそ、堺正章や和田アキ子、SMAP、TOKIOなど多くのアーティストに曲を提供しているが、CKB結成前のアマチュア時代にはなんとかチャンスがつかめたらと、当時、野口五郎が所属していた芸能事務所に入り、活動をしていたこともあった。

芸能人運動会でトシちゃんのチームになって、レッドトッシーズっていうチーム名だったかな。マッチと一緒に走ったこともありますよ。1位がマッチで2位が僕で、3位がシブがき隊のフッくん。4位が(お笑いトリオ)ヒップアップの島崎さんでしたね。アイドルになりたかったわけじゃないんです。そばにいれば、楽曲提供の依頼がくるんじゃないかという考えが自分の中にあった。でも当時は、その考えを主張する勇気もなかったんですよね」

 その後、事務所を退社し、’97年にCKBを結成。CKBの前に組んでいたバンドCK’S結成後の’94年から、お金のかかるバンド活動を続けるために“自分が自分のパトロンになろう”と、比較的高月給な外資系の検査会社の社員として働くように。それは、人気に火がついたアルバム『Gran Turismo』を発表した’02年まで続いた。

僕自身、車とバイクと、女性を見ることが好きなのは、若いころから変わらない(笑)。でも、CKBは、大きく変わりました。メンバーが6人から11人になって、僕の脳内で鳴っているものをより表現できるようになった。ここ数年、やりたいことがいちばんできている感じがしてうれしいんです

 少年時代の夢を叶え、“いまが、いちばん”と語る。次に描くのは?

「子どものころ想像していた“大人”は、28歳から32歳くらいだったんです。そのなりたい大人だった年齢を越えたいまは、未知の領域というか、異次元の世界というか。どこにいるかわからないまま漂っている感じなので、これからも漂い続けると(笑)。いい予感がするほうに舵を切っていくというのは、これまでも続けてきたし、これからも変わらないかな」

横山剣 撮影/廣瀬靖士

 進む方向を決めるのは、リリースしたばかりの20周年記念アルバムの選曲と同様“誰に相談することもなく、直感だけで決めていきたいです(笑)”と言う。

「今回のアルバムは、初めてCKBのアルバムを手に取る方でも“気後れせずに、知ったかぶり”ができるものにしたいと考えて作りました。“なんで、こんな曲入れたの!?”と思われるかもしれない(笑)、ぜひ聴いていただきたいマニアックな曲が55曲中、半分以上入っています。

 もちろん代表的なものもはずしていませんし、マニアやベテランのファンの方にも8曲ほどスペシャルバージョンの作品があります。自分の好きな曲が入っていない!と思う方もいるかもしれない。でも、文句は言わないことをお約束いただいて。もし、約束できないようなら、買わないでください。でも、買わないとスペシャルバージョンは聴けませんよ!(笑)」

■実は、〇〇が好き!

 K-POPと呼ばれるようになる前から韓国の音楽も、よく聴いていました。いちばん好きなアーティストは、兵役を終えたばかりの東方神起のチャンミン。彼は、永ちゃんとか西城秀樹みたいにワイルドなんだけど、ちょっとチャーミングでセクシーな、ドラゴンのようなうねりのあるシンガーだと思うんです。うまいし、切ない。ここ最近、こんなシンガーっていないと思う。娘の影響で聴くようになったんですけど、娘も僕もチャンミンが大好き。ライブにも行きましたよ。

<アルバム&ライブ情報>

『CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界』発売中。初回限定盤(3CD+2DVD)は60曲入り、7800円+税。「通常盤(3CD、60曲)は3500円!安い!価格破壊です!」と剣さん。

結成20周年記念アルバム
『CRAZY KEN BAND ALL TIME BEST ALBUM 愛の世界』発売中
初回限定盤(3CD+2DVD)は60曲入り、7800円+税。「通常盤(3CD、60曲)は3500円! 安い! 価格破壊です!」と剣さん。

『CRAZY KEN BAND 20TH ATTACK! CKB[攻]Presented by NISHIHARA SHOKAI』
9月2日横浜赤レンガ野外特設ステージにて開催。
また、9月23日から全国ツアー『CRAZY KEN BAND 20TH ATTACK! CKB[攻]Presented by NISHIHARA SHOKAI』開催。
詳細は公式サイトhttp://djr69.com/