ブログやツイッターでの婚活指南が好評のライター・仁科友里さんが、今話題のドラマ『過保護のカホコ』を参考に、“リアル・カホコ”の婚活を考察します。

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 最近、私が婚活視点で注目しているのがドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系 毎週水曜 夜10時〜)です。着る服を自分で決められないほど両親に過保護に育てられた女子大生カホコ(高畑充希)が、同じ大学に通う麦野初(竹内涼真)と出会うことで、自立をはじめるストーリーです。

右からカホコ役の高畑充希、母・泉役の黒木瞳

 カホコの過保護ぶりを驚く人もいるでしょう。けれど、私にとっては目新しいものではありませんでした。なぜなら、私は“リアル・カホコ”を数多く知っているからです。

 親子関係は当人同士の問題ですが、婚活視点では、カホコとお母さんのような密着した関係はいい結果をもたらさないというのが、婚活女子とメールのやりとりを続ける私の感想です。はっきり言うと、極度にアマいお母さん(以下、アマ母)に育てられた結果、アラフォーを迎えてしまったという女性は、とても多いのです。

 39歳のAさんは、男性との交際が長続きしないことを悩んでいます。こういうタイプの女性は情緒不安定なことが多いのですが、Aさんの場合、交際に親を巻き込みすぎる傾向があることがわかりました。

 Aさんは最初のデートで「遊びかどうか見極めるため」、男性に断りなくお母さんをデートに連れて行くそうです。交際することになると、頻繁に実家に連れて行き、挨拶を要求します。親の誕生日会に彼が来てくれなかったことが不満で、別れを決意しました。

 Aさんが親御さん大好きであることは明らかですが、それの何がイケないのでしょう?

 問題は、親御さんを好きなことではなく、客観性がないことなのです。客観とは「自分と相手は違う感じ方をすると知っていること」です。客観のための具体的な方法は「自分と相手を入れ替えて考える」ことです。たとえば、最初のデートで、男性がお母さんを連れてきたら、どう思うでしょう。これが客観です。

 ちなみに、ドラマのカホコ周辺も客観性がありません。カホコは、ばあば(三田佳子)の提案で、初にお弁当を作ってあげることにします。料理ができないカホコですが、一生懸命おにぎりを素手で握ります。

 ドラマでよくあるシーンですが、現実世界に生きるみなさんには、相手に何かしてあげたくなったときほど、「自分と相手を入れ替えてみる」客観チェックをしてみてほしいのです。「付き合っていない人に、素手で握ったおにぎりをもらって嬉しいか?」。嬉しくないと感じる人もいるはずです。

 母親(身内)は愛ゆえに“頑張り”を評価しますが、婚活は“メリット”が愛に変わります。婚活とメリットの関係については、『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)に詳しく書きましたので、ご参照ください。

 母親と独身男性の価値観は正反対なので、母親と仲良くしすぎると客観性がなくなり、男性に“メリット”を与える行動が取れなくなるのです。

 私が見てきたアマ母とリアル・カホコの特徴は以下のとおりです。

□婚活歴が6年以上だ。

□恋愛未経験、もしくは彼氏いない歴10年以上。

□外見や年齢を、お母さんにけなされたことがない。

□友達や彼氏がいなくても、さみしくない。

□親が自分名義の不動産を用意してくれた。

□実家暮らしでも、家にお金を入れたことがない。

□家事をやったことがない、もしくは苦手だ。

□お金をあまり使わない、もしくは物欲がない。

□洋服はお母さんと買いに行く。

 以上の特徴にチェックが多く入ってしまった人は、お母さんをアマ母呼ばわりされてショックを受けるかもしれません。が、私はみなさんのお母さんを断罪したり、婚活がうまくいかなくなると脅したいのではありません。地図を読むときに最初にすべきは、今、自分がどこにいるかを知ることです。それと同じで、自分とお母さんの位置を知ることで、婚活の方向性を定めてほしいのです。

 次回は、アマ母とリアル・カホコの婚活のズレについてお話しします。

(文/仁科友里)

※次回の記事は9月6日に公開予定です。

<著者プロフィール>

仁科友里(にしな・ゆり)

1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。近刊は、男性向け恋愛本『確実にモテる世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)