舞台で輝きを放ち、生で会える(見られる)俳優が本当に仲のいい俳優を指名してトークする「生で会えるイケメンリレー対談」、通称“生イケ対談”連載。

 第19回は中川晃教さんが加藤和樹さんを指名! 『週刊女性』本誌(2017年10月17日号)のスペシャル対談の続きを、たっぷりお楽しみください。

左から中川晃教、加藤和樹 撮影/廣瀬靖士

毎回、アッキーさんの歌に鳥肌が立ってました

――『週刊女性』本誌で話された以外にも、舞台上(ミュージカル『フランケンシュタイン』)で2人の応酬はあったんですか?

中川 いっぱいありましたよ。

加藤 アッキーさんも真面目ですごく入り込むから、怪物の僕が寝かされてて、アッキーさん演じるジャックが「起きろ! 起きてくれ!」ってガチでバンって胸を叩くんですけど、「バチン!」ってけっこういい音がして、俺もウッてなって。

中川 それで「今、起きたよね」って、マイクに入らない声で言ったら、和樹マンがニヤッとして。

加藤 俺、笑いそうになった(笑)。

中川 歌のシーンでもやりましたよ、2人にしかわからない共通の、身体を使うボイストレーニングの方法で。ビクター(中川)とアンリ(加藤)の2人が酒場で飲むシーンで、アンリがすごいベロベロに酔っぱらってるんですよ。で、こっちは介抱する側で。寝そべってて2人で立ち上がるんですけど。

加藤 立ち上がらせるところで、お互いをちょっと引っ張り合って、ああ~って高いところの声を出すみたいな(笑)。

中川 そういう動きをすると高い音が出やすいんです。ホントは俺の肩を持って、自分で立ち上がるシーンだから、パッて手を出したときに、和樹マンは一瞬わからなくて、ん? って顔してたけど、でも次の瞬間ニヤッみたいな(笑)。

加藤 ああ~、それをやりたかったんですかって(笑)。

――(笑)。2人だけの楽しみですね。

中川 楽しめる瞬間ですね。

――加藤さんは、憧れの人と共演した舞台で思い出されることは?

加藤 いや僕は毎回、アッキーさんの歌に鳥肌が立ってましたよ。

中川 そうなんだ。

加藤 だってアッキーさんの歌が毎日聞けるってだけで、そんな贅沢なことないじゃないですか!

中川 それは過大評価ってやつだね(笑)。

加藤 ほんとにアッキーさんの歌声が超好きで。なんだろう、胸に届くんですよ。それってミュージカルの目指すところなんですよね、お芝居としてちゃんと胸に響くっていう。歌がうまい人はいっぱいいるけど、ちゃんと歌詞に乗せて思いを伝えられる人って、実はけっこう少ないんですよ。『フランケンシュタイン』でもビクターの気持ち、辛さ、痛さ、悲しみっていうのが全部そこに乗っかってて、思い出すだけでもちょっとウルっときそうです。だからこそ、自分が演じたアンリと怪物っていうのも、乗り越えていけたし。こんな人いないですよ。

中川 フフフ。ありがとうございます。そう感じてくれてたんだ。

ちゃんと考えて悩んでるなって姿がすごくよかった

――どんな感じでお互いを知って、親しくなっていったんですか?

加藤 僕はどちらかというと自分から「こうですよね」って言ういう人じゃないんですけど。アッキーさんが、2人のシーンだったり作品のことに関して「どう思う?」っていう意見をすごく求めてきてくれたので、そこで僕も心の扉をパッと開いて「自分はこう思います」っていうやりとりをしていく中で、けっこう会話も増えていった感じですね。

中川 そうだったね。今、言われてだんだん思い出してきた(笑)。

加藤 アハハハハ!

中川 やっぱり稽古場の段階を踏んでいく中で、悩んでない人じゃないなっていうのがわかったときに、“だったら大丈夫だろう”って思ったんですよ。どんな悩みでもいいんです。何か取り組んでる中で、“どうしたらこうなるんだろう?”ってちゃんと考えて悩んでるなって姿がすごくよかった。あとWキャストだと相手が変わるので、一本の筋は何なのかっていうのをちゃんとお互いに認識し合うことがより大事なるんですけど、稽古を重ねて会話することで寄り添えたというか、信頼関係が生まれてきた。わかってくれてるから大丈夫って思いがベースにあるから、稽古(けいこ)で日々、違うアプローチが生まれても、さらに大切に感じあえた。そんな相手役でした。

中川晃教、加藤和樹 撮影/廣瀬靖士

――2人が盛り上がるのはどんな話題ですか?

加藤 アッキーさんってすごい不思議で。雑談とかはなくても、受け入れてくれるっていうか。だからほんとに本番前とかも、目を合わせるだけで通じ合える何かがあるって、すごく感じでたんですよね。言葉じゃないんだなって。

中川 うん。

加藤 だからすごく珍しいタイプなんですよ。けっこう同世代の役者だと一緒に芝居して、ワサって盛り上がって、あのとき楽しかったね、とかいう人ってわりと多いんですけど。

中川 なんか寂しいの?

加藤 いや、でもそれがすごく深いってことなんだなって思って。

――でもすごく近しい感じをお互いに思っているってことですもんね。

加藤 はい。すごく居心地がいいというか、安心するんですね。だから今日もアッキーさんと一緒で超うれしいし。

中川 アハハハハ!

僕と一緒で、ちょっと残念なところがあると思う

――おふたりの共通点はどんな部分ですか?

加藤 すごい失礼になるかもしれないですけど……。俺と一緒で、ちょっと残念なところがあると思う。

中川 ちょっと残念なところ?

加藤 アッキーさんってすごく完璧じゃないですか、でも意外とヌケてるところもあったりして。

中川 あったっけ?(笑)

加藤 ちょっと忘れ物したりとか。すごいやる気まんまんでいたら、今からやるのは自分のシーンじゃなかったり(笑)。

中川 ああ~(笑)。

加藤 なんかそこは俺としてはうれしいですよね、ちょっと同じ匂いがして。

中川 それって俗に言う天然ってやつ?

加藤 そう! そうです。もちろん、すごくいい意味でですよ。

中川 なるほどね、天然(笑)。

加藤 アハハハハ!

中川 天然キャラってことですね(笑)。

加藤和樹、中川晃教 撮影/廣瀬靖士

――(笑)あんまりそういう意識は、ご自身にはないですか?

中川 「天然だよね」ってよく言われるんですけど。その天然っぽさって、俺の中ではちょっとこう、心を許した瞬間に出るみたいなんですよね。でも、それが例えば舞台上で出るかっていうと出ないんだよね。

加藤 舞台上はもちろん出ないですよ!

中川 何なんだろうね、その切り替わりが自分でもちょっと面白いなって思うんですけど。そう言う意味では和樹マンもそうか、天然っぽいところあるのか。

加藤 ありますよ。まあ天然っていうか僕は残念なタイプだから。

中川 残念なんだ(笑)。例えば?

加藤 俺はすごくカッコつけてるつもりでも、全然カッコついてないみたいな。それしゃべんなきゃいいのに、やんなきゃいいのにっていうか。

中川 それサービス精神だね。確かにいろんな意味でサービス精神のある人だよ。

加藤 (笑)。そうなんですかね? サービス精神が空回ってるかもしれませんね(笑)。

中川 たぶんそういったエッセンスはあるんだと思います、2人とも。その“え? そこ?”みたいなところが(笑)。風貌とか、やってきた役の印象と素の部分の印象という意味でギャップがあるんでしょうね。たぶん俺はわりかし早いタイミングで、それは出しているかもしれない。

加藤 だからすごく安心したんですよ。

中川 そこか~、わかった(笑)。わかってきた。

加藤 これでほんとにアッキーさんが完璧だったら、俺なんかからすると近寄りがたいところがありますもん。でも入れる隙間を空けてくれてたから。

――次に共演するなら、どんな舞台をやりたいですか?

中川 そうだね、やらないとね。

加藤 やりたいです! お願いします。

中川 でも、ここはいずれ共演があると思います。相思相愛なんで(笑)。

加藤 はい、必ず。

中川晃教、加藤和樹 撮影/廣瀬靖士

――では最後に改めてお互いはどんな存在ですか?

加藤 常に刺激をくれる人ですよね。アッキーさんって間が絶妙なんですよ。

中川 この間も、ミュージカル『ビューティフル』を見に来てくれて。

加藤 なんかね、気持ちいい間で笑わせてくれたりとか、台詞をここで欲しいってところで言ってくれるんです。すごい絶妙だった。それが俺には超ツボで。もう、ほんとにうまいな~って。それがアッキーさんがもともと持っている素質でもあると思うし、もちろん計算してる部分でもあると思うんですけど、それが大好きなんですよね。いつも勉強になります。

中川 ひとつのバロメーター的な感覚で、彼の意見とか彼の考え方とかを尊重したいって思えるような存在ですね。わりと俺、和樹マンが誰かと話してるのが耳に入って、で、「何? 何?」って感じで聞いて、「こうなんですよ」って教えてもらって。稽古場でもけっこう会話に割り込むのが多かったかもしれない。

加藤 いやいやいや。

中川 和樹マンが誰かと話してて盛り上がってるのを聞きながら、俺は興味を持って知りたいって思える。なんかそういうひとつの話題から、例えば作品のことだったり、今の自分自身の目標だったりを話してるのを客観的にそばで見ていて、俺も刺激をもらっているところがあるから、一緒に頑張ろうって思える。そういう話の内容も含めて、バロメーターのような人ですね。

スペシャルQ&A【中川晃教編】

――加藤さんには言ってないけど、感謝していることは?

中川 共演したミュージカル『フランケンシュタイン』は友情がすごく大きなテーマになっていて。友情ってなかなかすぐに生み出されるものじゃないんですよね。やっぱり公私ともに尊敬し合っていたり、「普段何やってるの?」とか何気ない会話でお互いを知り合う時間が、実は芝居にもつながっていく。そういうところから生まれてくるものの大切さを、稽古期間に彼と向き合う中で改めて教えてもらいました。短い期間だけどそういう段階があって、一緒に組んだ瞬間に距離を感じさせないでくれたので、感謝してます。

 もうひとつ、名古屋公演のときに、和樹マンがわざわざ東京からハヤシライスを作ってジャーに入れて持ってきてくれたんですよ。東京公演中にも作ってきてくれたことがあったんですけど、たまたま僕が食べられなくて。それを気にして作ってくれたっていう。すごくおいしかったです。

――加藤さんに直してほしいところは?

中川 全然ないです。強いていうならば、『フランケンシュタイン』で僕が演じるジャックは怪物(加藤)を痛めつけるんですよ。リードで繋いだりムチで打ったりとか、調教するようなシーンがたくさんあって。かなり身体を酷使するんですね。殴られて360度回転したりとか。それで身体がバッキバキになってたはずなんです。でも、痛みとかを一切顔に出さないから、和樹マンは鍛えているし、我慢強いんだろうなと思ってたんですよ。そうしたら、他の人から「かなり身体が辛かった」って言ってたと聞いて。そういうのを見せないところは俺は好きですけど、仕事を長く続けていくためにもあんまり無理はしないでねと。

――スマホの今の待ち受け画面は?

中川 もともと入ってるやつで、夜景です。でもいいでしょ?(笑) 自分で設定を替えたりとかは全くしないです。アップデートすると待ち受け画面も勝手に変わったりするから、“あっ、変わってる! この月の景色いいね”みたいな(笑)。台湾に行ったときに自分で撮った石畳のレンガの写真がいいなと思って待ち受けにしたことはありましたけど、かなり前ですね。

中川晃教 撮影/廣瀬靖士

――あなたにとって愛とは何ですか?

中川 18歳で仙台から上京して、ずっと一人で暮らしてきたんですけど、31歳のとき当時82歳の、母方の祖母と2人で住むことになったんです。亡くなるまでの2年8か月、一緒に生活する中で、親との会話では心配させないように気を使っていたことも、仕事の話題でも何も気を使わずに話せるようになって。祖母の聞き方がうまかったのかもしれないけど、なんか見えないものに抱かれているような安心感が得られて、特別なものを感じたんですよね、それが愛だなと感じたことがありました。

――中川さんのトリセツを教えてください!

中川 僕はすごくせっかちです。で、すごく相手を尊重するか、まったく相手を尊重しないかのどっちかです。それはたぶん、いろんな状況によるんですけど(笑)。やっぱり自分はこうだというスイッチが入ったときの自分と、自分のスイッチうんぬんじゃなくて相手のスイッチに合わせようとなることがあって。この両方のバランスが自分の中でとれることが、こういう仕事を続けていくときに大切なことの1つかなって思うんですよね。それで相手を信頼できていたら、もう“あうん”の呼吸が生まれることを大切にしたいんで。その呼吸を作るために相手をよく知る、見るっていうことをしますね。

――中川さんの中でロマンチストな部分があったら教えてください!

中川 ロマンチストだよねって言われることはありますね。それは僕が書く歌詞を読んで「すごいロマンチストな感じだね」とか言われたりするんですけど。確かに曲を書くっていうのは一番ロマンチストってことに近いかもしれないですね。1つの曲を生み出す過程の中で、フレッシュな瞬間の記憶から、過去の記憶から、いろんなものを自分の中でふわっと音楽に封じ込める瞬間があって。その思い出したりしているときに、夢想家……ロマンチストになってるのかもしれないなって、いま自分で思いました。

スペシャルQ&A【加藤和樹編】

――中川さんには言ってないけど、感謝していることは?

加藤 やっぱり自分という存在と出会ってくれたことですね。僕はずっと存じ上げていたし、いつか一緒に仕事ができたらいいなと思っていたので。それが同じ舞台で一緒に高め合っていけたっていうこと自体に、もうすごく感謝しています。

 いつも的確なアドバイスをくださるんですよ。歌ってて、「ここもうちょっとこうしたほうがいいんじゃない」とか、「こうしたほうが出しやすいんじゃない」とか。ボイストレーニングの先生が一緒なので、クセだったりをちゃんと見てくれるんですね。同世代の共演者で、なかなか言ってくれる人っていないんですけど。2人のシーンでも自分の芝居に集中しているはずなのに、「ここはもうちょっとこうしない?」とか提案をしてくださるので、やっぱりそれに応えたくなるじゃないですか。それでより高め合っていけたので、すごくうれしかったですね。

 始めはアッキーさんにちゃんと自分がついていけるだろうかっていう不安もあったんですけど、全部アッキーさんが引っ張っていってくれました。

――中川さんに直してほしいところは?

加藤 真顔で冗談とかを言うので、本気か冗談かわからないところがあって。軽く話してるときとかに、「実はこういうことがあってさ、こうこうなんだよ。まあウソなんだけど」って(笑)。「いやいやいや、ホント信じちゃうから、そのテンションで言われると」っていうね。けっこうね~、惑わされちゃうんですよ(笑)。おちゃめなんですけどね。冗談とかに対してもたぶん真面目だから、それが芝居ではものすごくいいように作用して、お客さんが“どっ!”って沸いたりするんです。ただ、それをプライベートでやられると、どこまで本気で受け止めたらいいのか……って(笑)。

――スマホの今の待ち受け画面は?

加藤 ドクロの絵ですね。ドクロが好きなので、この携帯にしたときに最初に決めたやつをずっとそのままです。気分で頻繁に壁紙を替えるっていうことはしないですね。最初に設定するときは、すごくこだわって選びます。

加藤和樹 撮影/廣瀬靖士

――あなたにとって愛とは何ですか?

加藤 支えるものだったりとか、ほんとに心から人を愛する恋愛の部分だったり、何かをすごく大事に思う気持ちも愛だし、例えば食べ物でこれがものすごく好きっていうラブもあるだろうし、どれだけ1つのことについて深くのめり込めるかってことだから、愛ってひと言では言えないものですよね。湧き上がってくるものだし、目にも見えないし、人によっても違うから。恋愛でも愛してるとか好きってことを説明してって言われても言えないじゃないですか。その感情を説明してって言われると困るし。かけがえのないものですけど、言葉では説明できないものですかね。

――加藤さんのトリセツを教えてください!

加藤 僕は昔からなんですけど、黙ってるとちょっと怒っているように見えるらしくて。最近はそうでもないですけど、難しい顔してるって言われるんで。なんか機嫌悪いのかなって思われるみたいですけど、決して怒っているわけではございません(笑)。あとは……食べることが好きなんで、一番好きな焼き肉とラーメン二郎のラーメンを与えると喜びます。焼き肉は焼き方にうるさいです。美味しく食べたいんで、誰かと一緒に行っても自分で焼きたい人なんですよ。焼けるとどんどんお皿に乗せちゃうんで、その人のペースで食べさせないから、そこは許してくださいっていう(笑)。なので、一緒に焼き肉に行くときは好みの焼き加減を教えてください(笑)。

――加藤さんの中でロマンチストな部分があったら教えてください!

加藤 たぶん全くないと思いますよ。例えば、理想のデートは? とか聞かれても、「きらめく夜空のオーロラを一緒に見に行こうよ」みたいな発想は自分の中にないんですよ。焼き肉とかラーメン食べに行く? とか言っちゃう人だから。ラブストーリーを演じるときも、役の中に気持ちがあればいいだけで、自分のなかのロマンチストな部分を出そうっていうのはないかな。たぶんロマンティックになるように、脚本とか演出とかもできてるんですよ。

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<プロフィール>

なかがわ・あきのり◎1982年11月5日、宮城県生まれ。B型。音楽活動と並行して、数々のミュージカルに出演。昨年、読売演劇大賞の最優秀男優賞に選ばれた。今後は11月4〜5日中川晃教コンサート「I Sing〜time to come〜」(新国立劇場中劇場)にて開催。また、『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~('18年5月明治座)に星野鉄郎役で主演。ミュージカル『ジャージーボーイズ』('18年9月シアタークリエほか)主演。

かとう・かずき◎1984年10月7日、愛知県生まれ。A型。歌手、俳優、声優として幅広く活動。近年は多数のミュージカルに出演。今後はミュージカル『レディ・べス』(東京公演:10月8日~11月18日帝国劇場/大阪公演:11月28日~12月10日梅田芸術劇場)出演。ミュージカル『マタ・ハリ』('18年1〜2月に大阪・東京)主演。10月18日にミニアルバム「Spicy BOX」を発売。

(取材・文/井ノ口裕子 撮影/廣瀬靖士 ヘアメイク/白石真弓)