葵わかな 撮影/伊藤和幸

「現場に入って4か月半になりますが、“一日一笑”で大笑いの記録を毎日、更新しています(笑)」

 連続テレビ小説『わろてんか』で、ヒロイン・てんの幼少期を演じていた新井美羽ちゃんから“バトン”を受け取った葵わかな(19)。

 てんは、いつもほがらかで明るい“ゲラ”の笑い上戸だがーー。

「最初に台本を見たとき、自分自身とはかけ離れた子だな、って(笑)。私は物ごとを熟考して進めたいタイプだし、実は私、けっこうネガティブなんです。

 てんちゃんは、いろんな気持ちをポジティブに変換できる子。それが彼女の強さだし、魅力ですよね。楽天的なところは見習わなきゃと思いました」

 ヒロイン発表会見では、選ばれた実感も演じる自信もないと話していたけど……。

「自分ではどうしてこんなに笑顔の輝く役をいただけたのか、わからなかったというか(笑)。だから、まずは顔全体で笑いたいと思ったし、次は身体全体でと、意識を持って練習しました」

葵わかな 撮影/伊藤和幸

“ヒロインの重責”に押しつぶされそうに

 日々、自身の変化を感じているという葵。だが、撮影開始直後に“ヒロインの重責”を知ることになったという。

「撮影前、いろんな人に“ヒロインのプレッシャーはある?”と聞かれましたが、私自身あまり感じている部分はなかったんです。でも現場に入ったらプレッシャーが現実のものになってきて。

 このまま押しつぶされるのかなと思っていたら、共演の松坂(桃李)さんや濱田(岳)さんが優しく手を差しのべてくださったんです。自分ひとりではなく、みんなで作っているんだ、周りに頼っていいんだと実感できました」

 その中でも、将来の夫になる藤吉を演じる松坂の言葉に助けられたという。

「“これは、てんと藤吉の物語でもあるから、なんでも相談してね。僕も相談するから”って。この言葉は本当にうれしかったです。そこから監督やスタッフさんにも自分の思っていることを伝えられるようになりました。そういう意思の共有ができたのは、すごく大きかったと思います」

 朝ドラといえば、10か月にも及ぶ長い撮影期間になる。

「普通のドラマなら、もう撮影が終わっているんですよね。でも、まだ半分にも到達していない(笑)。今後、てんちゃんは年齢を重ねて、いろんな人生の展開があるんですけど、彼女が成長するのと一緒に私も成長できているという感覚がとてもあります。毎日いろんな気づきがあって、そこから学んで新しいことに挑戦して……とやっていたら残りの撮影もすぐに終わっちゃうんじゃないか、って。あ、私、ポジティブに考えられていますね(笑)」

 これまでのヒロインたちは、クランクアップしたときに見える風景が違うと言ってるけど、どんなゴールを目指したい?

「ゴール……、難しいですね。これから演じる30代、40代、50代にも不安しかないから、その先のことなんてまだ考えられないです(笑)。でも、今は本当に現場を楽しんでいて、『わろてんか』が終わったあとにチャンスをいただけるなら、もう1度ヒロインをやりたいと思っているくらいなんです。できれば、この気持ちを持ち続けたまま、ゴールしたいなと思います」

葵わかな 撮影/伊藤和幸

遠距離恋愛アリ?ナシ?

 藤吉との手紙での遠距離恋愛は、8年間にも! もし自分ならどうする?

「素敵だと思います。今ならメールやLINEですぐにつながりますが、手紙には時間や手間がかかるなりのよさがあって。相手が直接書いた文字が届くじゃないですか。それに手紙はその人も触っていて、どんな気持ちで書いてくれたのか、どんなところで書いてくれたんだろう、って想像する余地がたくさんありますよね。ロマンチックだな、と思います。

 私自身もレターセットを集めるのが好きで、手紙を書くのが好きなんです。お友達の誕生日とかにメールではなく普通に書きますし、手紙をもらうのもうれしい。藤吉さんからの手紙を待つてんちゃんの気持ち、すごくよくわかります」

来週の『わろてんか』

 てんと久しぶりに再会した藤吉は、自分が売れっ子芸人だとウソをつく。しかしリリコ(広瀬アリス)に、藤吉は船場の大店の長男だと聞かされたてんは、長男・長女の自分たちが決して結ばれない関係と知り、藤吉への思いをあきらめようとする。そんな中、キース(大野拓朗)が起こしたケンカに巻き込まれた藤吉はーー。

(c)NHK