2016年、ゴミ拾いをしていた宮崎駿監督

 2013年公開の長編アニメ『風立ちぬ』を最後に、制作部門を解散し長編アニメ制作から引退していた宮崎駿監督(76)。

 今年2月、長編に着手していることをスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサー(69)が明かし、5月にはスタッフを公募し「引退撤回」が決定的に。また、公開時期に関しては、4月末にイベントに出席した鈴木プロデューサーいわく「進捗状況は良くない。(19年公開は)できるわけない」とのこと。

「これまで何度か、引退しては撤回することを繰り返してきた宮崎監督ですが、そのたびに、ファンの間では“引退撤回理由”が取りざたされる。今回、意外なところでその理由が明らかになって、ファンを苦笑させていますよ」

 テレビ誌記者がそう明かす理由とは?

「8日に放送されたNHKの番組『日曜美術館』に、スタジオジブリの鈴木プロデューサーがゲスト出演したんです。日本画の狩野派、狩野元信の戦略についてあれこれ鈴木さんが語っていました。

 その中で、宮崎監督の新作について、『孫のために作ってますよね。おじいちゃんはあの世に行っちゃうけど、作品を残すって』と発言したんです。私は、ジブリファンですが、さすがにテレビに向かって、おいおい!って突っ込んでいました。そんなのが動機かよって(笑)。

 番組の司会者も、鈴木さんの発言をうまく拾えていませんでしたね。反応することなく、番組のまとめに入りましたから」

 引退撤回が明らかになった当時に取りざたされていた理由について、スポーツ紙映画担当記者が明かす。

「『君の名は。』の大ヒットが悔しかったからと、言われたこともありましたけど、あれだけ勢いのあった『君の名は。』も、興行収入では『千と千尋の神隠し』を抜けませんでした。 

 スタジオジブリ作品として制作した『レッドタートル ある島の物語』がアカデミー長編アニメ映画賞にノミネートされたことについて、鈴木プロデューサーが『自分以外の作品をジブリで作るのが嫌みたい』という趣旨の発言をしたことがあったようです。だから最後の長編アニメを、自分の作品にして、ジブリ史を締めくくりたいのではないかと。

 アニメファンは、その2つの作品が宮崎監督の内面に影響し、創作意欲をたきつけたかと考えていたんですが、たきつけたのは孫だった……わけです。朗らかな理由でいいんじゃないですか」

 恋人を思って歌を作ったり、小説を書いたり、誰かに捧げられる映画があるなど、芸術の創作意欲は何だってもいい。

 どんな長編アニメになるかまったく情報は漏れていないが、孫のために作られたアニメがどんな物語なのか、完成を待つしかない。

<取材・文/薮入うらら>