自宅玄関で、出迎えてくれたアンナさんの笑顔がステキ(撮影/宮濱祐美子)

還暦を迎えて、“終活”を意識することもありますけど、それよりも、生きることを考えたほうがいいと思うんです。これから何年、生きられるかわからないからこそ、今を大事にしたいです。できる限り、家族や友人と一緒に過ごす時間を持ちたいと思っています。そのためにも、これからの人生を大事にしたいですよね」

 そう語るのは、結城アンナさん。夫は俳優の岩城滉一さん。おしどり夫婦としてCMやテレビに出演した。

 アンナさんは、10代からモデルとして活躍したが、その後、専業主婦になり、芸能活動を控えていた。近年、テレビ出演などが増え、本格的に活動を再開。そうしたなかで、初めての著書『自分をいたわる暮らしごと~おしゃれで心豊かな日々の重ね方』を上梓し10月27日に発売する。

 本では、アンナさんの自宅でのライフスタイルを初公開し、自然体でポジティブな生き方や楽しみ方、半生が綴られている。

「最初は、特別、何もない私のことを書いた本を誰かに買ってもらえるのか、心配でした。でも、途中からは、ちょっと感動していたんです。ふだんの生活とともに、昔のことを思い出すことで、自分のストーリーを1冊にまとめられることができると思い、うれしかったです」

 アンナさんは、1955年にスウェーデンで、日本人の父とスウェーデン人の母の間に生まれた。

 郵便局員のスタンプを押す姿がカッコよく、“ごっこ遊び”をしていた少女は、夏休みなどで行き来する日本での生活が、たちまち好きになったという。

「スウェーデンでは、両親が共働きだったので“鍵っ子”でした。でも、日本の祖父の家は大家族で、いつもたくさんの人がいたので、それがすごく楽しかったです。

 スウェーデンに戻るときには、空港で腹痛を起こして、飛行機に乗れないことが何度かありました。精神的なもので、それくらい日本にいたかったんです

 その後、家族で日本に移住。スカウトされ、15歳のときにモデルデビューした。

22歳ごろのモデル写真。大黒柱として仕事と子育てに奔走していた

 16歳で、岩城さんと出会い、20歳のときに結婚。長女を出産した。そのころ、岩城さんは駆け出しの俳優。アンナさんは一家の大黒柱として、モデルの仕事と子育てに追われる多忙な生活を送った。

「お金はなかったですけど、全然、平気でした。若さでしょうか、なんとかなるって思っていました。日用品がなくなったときには、主人に“パチンコに行ってきなさい!”と。勝った景品でしょうゆとかいろんなものを持って帰ってもらいました(笑)

 岩城さんが、俳優として活躍するようになると、アンナさんは、30歳でモデルを辞め、念願だったという専業主婦になった。

 30代、40代は家庭中心の生活を送りながら、夫婦共演のCMなどに出演していた。

「両親が離婚したこともあって、自分の子どもや家庭は、何があっても守ると決めていました。

 20代がとても大変だったので、30代、40代は、少し肩の荷が下りた感じでしたね」

 子育てが一段落して迎えた50代。更年期世代をどう乗り越えたのか尋ねると、

「朝、起きたときにものすごく目が回ったりしましたが、眠れば治ると思うタイプなので、あまり気にしていませんでした。今、振り返ってみれば、ホルモンバランスを崩していたんだと思います」

 そして、迎えた60代の心境が、冒頭のコメントだ。

アンナさん43歳ごろ。イタリア旅行での夫婦ショット

 40年になる岩城さんとの夫婦生活についての質問には、こんなエピソードを教えてくれた。

「実は、ずっと同棲で、娘が大学生のときに入籍したんです。夫婦ゲンカをして、離婚する? と言っても(公的に)結婚していないですから(笑)。ケンカも続かないんですよ。そんなことも、夫婦生活が長持ちした秘訣のひとつかもしれませんね」

 アンナさんは、結婚願望がなかったが、入籍は、書類上でも正式な夫婦のほうが、現実的なメリットがあったためという。

 岩城さんとは、ときどき映画を見に出かけたり、自宅近くの公園まで散歩して、お茶をするデートをしているそうで、仲睦まじい夫婦の姿が浮かぶ。

 本について、岩城さんの感想は?

「まだ、読んでいないけど、制作過程を知っているので、“いいんじゃない”と、言ってくれると思います」

 そしてこれから、アンナさんの本を手にする読者にメッセージを。

「先日、健康診断で、ストレスホルモンの数値が高く、驚かれました。私自身は、幸せで、何もないように見えても、ストレスがたまっていたんだと思います。

 ストレスは、身体だけでなく、精神的にも、肌にもすべてのことに悪い影響を与えます。日常生活で、ストレスをためないための工夫として、自分をいたわることが必要だと感じています。

10月27日発売『自分をいたわる暮らしごと』結城アンナ著(主婦と生活社)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします

 いたわることは、食事、寝ること、散歩、バスタイムでもできて、さらに、ポジティブな気持ちも大切です。いたわることは、自分を愛すること。そうしないと、他人を愛することも、ましてや家族にもやさしくできないと思います。

 私の本が、そうした気持ちになれるインスピレーションやヒントになったら、うれしいです」

 秘蔵ショットや自筆のイラストが収録されたスタイル本は、アンナさんの人生にとっても新たな1ページに。

 今後については?

「誘われたことは何でもやってみたいですし、開いている扉の向こう側は覗いてみたいです。モデル? 声をかけてもらえたなら、やりますよ。でも、ちょっとやせないといけないかな(笑)」

 美しく年齢を重ねたいと思う多くの女性にとって、そのシンボルのひとりとして、注目されそうだ。