めちゃイケメンバー、左上から時計回りに濱口優(よゐこ)、加藤浩次(極楽とんぼ)、有野晋哉(よゐこ)、岡村隆史、矢部浩之(ナインティナイン)

 フジテレビのバラエティ、『めちゃ×2イケてるッ!』と『とんねるずのみなさんのおかげでした』が、来年春に放送終了するという話が浮上した(『みなおか』はまだ正式発表はしていない)。

 4日放送の『めちゃイケ』では、岡村隆史に番組終了を告げ、そのリアクションを映し出し、ある意味、究極の自虐ネタも放送したが、視聴率は6.6%(ビデオリサーチ・関東地区)と、そこまでの効果はなかったようでもある。

「打ち切りの噂は2番組ともずっと以前からありましたから、”ついにか”といったところではあります」

 と、ある芸能記者は言う。

「フジでは、『笑っていいとも!』『ライオンのごきげんよう』『SMAP×SMAP』と、それぞれ理由は異なりますが、ここ数年で、看板番組を次々と終了させてきました。

『スマスマ』に関しては、フジというよりも、SMAP側の事情によるところが大きいと思います。さすがに、これら看板バラエティを同時に終了はできない。ある意味では『スマスマ』によって、ここまで続いたという見方もあります」(前出・芸能記者)

『めちゃイケ』の放送スタートは1996年。『みなおか』自体は97年スタートだが、同枠での前身となる番組『とんねるずのみなさんのおかげです』のレギュラー放送のスタートは89年のことで、約30年の歴史を持つ長寿バラエティだ。

 2番組とも全盛期は、毎回20%を超えるような大人気番組だったが、近年は低迷していた。

「『めちゃイケ』は、おバカ解答が人気の学力テスト企画や岡村のチャレンジ企画など、一部の人気企画以外は正直、厳しかった。2010年に岡村が休養し、大々的にオーディションを行った新体制が、うまくハマらなかったあたりからズレていった感はあります。

『みなおか』も、食わず嫌い王や男気ジャンケンなど、数年ごとにヒット企画が生まれますが、やはり近年の新企画は目立ったものがなかったですね。9月の特番での登場が問題視された、”保毛尾田保毛男問題”も、時代の流れを感じました」(前出・芸能記者)

 低視聴率になってしまったとはいえ、近年のフジテレビの番組は、全体的に視聴率は低い。そんな状況が続くなか、ついに大ナタがふるわれた。

予算はかかるのに、数字が取れない

「10月の改変期にも、制作会社やスタッフが一新された番組がいくつもありました。とにかく大幅なコストカットを行っているところです」

 と、人気番組を手掛ける放送作家は言う。

「とにかく数字が取れない状況が続いていて、予算もない。そのため予算がかかる番組の見直しがはかられました」(前出・放送作家)

『めちゃイケ』『みなおか』の終了も、その延長線上にある。

「とにかく2番組は、お金がかかりすぎていました。セットひとつとっても、他の局からみたら、驚くような予算をつぎ込んでいた。今はテレ東の『家、ついて行ってイイですか?』や『池の水ぜんぶ抜く』など、予算をかけずに工夫して、面白く見せる番組のほうが時代に合っているんです」(前出・放送作家)

 いっぽうで、これまでの看板番組に代わる人気番組も、あまり育っていない現状がある。前出の芸能記者は言う。

「しいていえば、『痛快TV スカッとジャパン』や『ホンマでっか!?TV』などがありますが、近年終了した看板番組の全盛期に比べると、その規模はくらべものにならない。クラスの誰もが見ている番組みたいな存在の登場は、今の地上波ではなかなか難しいのかもしれませんが……」

 今後のフジテレビの行方はどうだろうか。前出の放送作家は、「これから変わってくると思う」という。

「象徴的だったのが、今年の『27時間テレビ』。歴史を学ぶというテーマで、生放送ではない見せ方を、たどたどしいながらも”今までと違うものを作ろう”という思いがあったと思います。

 今、荒れまくった地面を、ようやくならしはじめたところなのかと。ここから新しいものを建てていく段階にある。これからは、適切なお金のかけ方をして、時代に合った、新しい番組作りをしていくのでは。結局は作り手しだいなのですが」

 前述したとおり、『みなおか』は、前身となる『おかげです』終了後も、とんねるずの番組が継続され、『おかげでした』につながった経緯もある。

 2番組は終了するが、とんねるずやナイナイや、よゐこによる新番組での継続の可能性もあるのだろうか。

「その枠が残るのか、別の枠で新番組になるかはわかりませんが、予算の問題が解決すれば、とんねるずは全然アリだと思います。お二人が出ていて、何より視聴者が”また見たいね”という気持ちになってくれれば、そこはもう『みなおか』の世界になるので。

 逆に、『めちゃイケ』はさすがに難しいでしょうね。特に初期からの顔ぶれがそろわないと、『めちゃイケ』にはなりませんから」

 フジの再浮上に期待したい。

<取材・文/渋谷恭太郎>