前野朋哉 撮影/伊藤和幸

『わろてんか』の現場は、“遊びたがり”の人が多いんです(笑)。万丈目役の藤井隆さんは、顔と顔5cmくらいの距離で面と向かって変な顔しますし。突拍子もないセリフを言われたときは、もう耐えられなくてダメですね(笑)」

 “銭がないと夢もへったくれもない”と、うそぶき守銭奴のように見えるけど、とぼけた風貌が憎めないアサリを演じている前野朋哉(31)。ほかにも現場は“おもろい面々”ばかりのようで――。

本番でぶっ込んでくるのは風太(濱田岳)ですね。藤井さんはテストで試してから本番でやってきます。だから対策ができるんですが、濱田さんは本番でも別のアプローチで僕を試してくる(笑)。

 そのノリが『釣りバカ』みたいで、松竹映画のお正月系なんですよ。何かやったあとに僕と目が合うと“松竹だね”って(笑)。僕もやっていて面白いので、濱田さんに乗っかってその空気感で遊ばせてもらっています」

 そして、これから伝説のコンビ!? になるかもしれない相方・キース(大野拓朗)について、

「大野くんとは、共演するのが3回目なんです。しかも今回が一番期間が長くて濃い。友達に近い感覚なので、わりと何でも話すことができるし、相方を演じるうえでの安心感はありました。1回芸人になってみよう、と大野くんから提案してくれて、M-1にふたりで『潮干狩』というコンビ名で出場もしました

 予選1回戦は突破したものの、結果は予選2回戦で敗退――。

「僕は昨年も出場しているんですけど、大野くんとふたりで実際にお笑いの場の空気を感じることができたのは大きかったです。やればやるほどお笑いの奥深さ、芸人さんのすごさや難しさを実感できました」

『風鳥亭』の経営も軌道に乗り、寄席での活躍も期待できるアサリ。本名・浅井利一の隠された過去も、これから出てくるみたいだけど、見どころは?

芸人チームの中では薄情でお金にがめつくて、人情じゃないとこで動く人間……。とてもひどい人に見えるけど(笑)、彼の言葉をよく聞いてもらえば、実はかなり真っ当なことを言っているんです。見てくださる方たちの目にアサリがどう映るのか、僕としても楽しみです!」

前野朋哉 撮影/伊藤和幸

前野朋哉ってどんな人?

 秋クールでは『コウノドリ』『刑事ゆがみ』にゲスト出演した前野。auのCM『三太郎』シリーズに一寸法師で登場したのを覚えている人も多いのでは? ’05年にデビューし、映画やドラマ合わせて約100本に出演! 主演から脇役まで幅広く演じ、映画監督としての顔も。

監督として作品に関われる魅力は、圧倒的な時間を作品に費やせること。作品への思いは誰よりも強くなります。俳優は現場でどれだけ楽しめるか、が魅力。変な言い方かもしれないけど、監督が親で、俳優は子ども。俳優はいかに楽しんで“親”に許してもらえるか、だと思っています(笑)」