ジャニーズやK-POPをはじめとした、日韓のアイドルの応援を日々の生きがいとし、気づいたらとある現場でトップヲタクになっていた<男子>大学生・あくにゃんのコラム。
イラスト/びーえいち

 

〈第四声〉
ジャニーズに公開オーディションは必要?
~それぞれのメリット・デメリット~

 今、韓国では「オーディション番組」が大流行しています。

『プロデュース101』という番組から生まれた11人組男性アイドルグループ「Wanna One」のライブには50万件を超える応募が来るほど人気を獲得しています。今年の、第68回NHK紅白歌合戦への出場が決まった韓国のガールズグループ『TWICE』もオーディション番組出身です。

 しかし今、ジャニーズはオーディション番組や、公開でオーディションをすることがありません。それぞれのメリット・デメリットを考えていきたいと思います。

 韓国で大流行した『プロデュース101』という番組をご存知でしょうか。

 まだデビューしていない各事務所の練習生101人を集め、最終的に視聴者の投票によって選ばれた11人がデビューをするという番組で、自分の推しをアピールするためにファンたちは、お金を出して街中に看板を出したり、バスの広告部分を推しの宣伝で埋めたりと、社会現象を起こしました。

 もともと韓国ではオーディション番組が人気で、すでにデビューしている『TWICE』と『MONSTA X』もオーディション番組出身です。また、最近韓国でデビューしているグループのメンバーの中には、『プロデュース101』に出て人気を獲得した子がいます。

 このオーディション番組の最大の特徴は“デビュー前から知っている”ということです。そして、一般人同様の彼らたちが、日に日に成長する姿を見ることで愛情がより一層強く芽生えます。

『プロデュース101』では、練習生がわんわん泣く姿や失敗した姿だけではなく、踊りが下手なのに練習しない様子、「あの子は所属事務所が大きいから待遇がいいんだ」という陰口、両親との電話の内容など、すべてを流します。それらを通して見られる彼らのリアルな感情や反応、そして人間味を感じられるという点が多くのファンにウケました。

 オーディション番組は、ステージで輝く姿のみではなく、生い立ちやドラマチックな背景までをも商品として売り出すことで多くのファンを獲得できるのです。

 そしてもう1つ重要な点は、視聴者による<投票制度>があることです。

 これにより、アイドルがファンを引っ張るスター的な性格を失い、ファンに媚びる時代が訪れました。

 また、各番組には必ず専門家がいるのですが、その専門家による批評と、自身が感じた意見とを比較できるため、アイドルを批評的な目線で見るようになります。

 そして、人気投票によるランキングというわかりやすい形で結果が出されるため、その答え合わせができます。「やっぱり私の眼は間違ってなかった」「ほら、この子は顔がいいけど人気は出ない」といったように、ただ盲目的に愛することと同時に、プロデューサーとしての目線も持つようになるのです。

 実際に『プロデュース101』では、応援してくれる視聴者のことを「国民プロデューサー」と称しています。

 これらが影響し、昨今のアイドルは、神として崇拝するスター的な性格を失い、育てる対象へとなっています。推しを「産みたい」「養いたい」と発言したことがある人は、まさに育てる対象として見ているのではないでしょうか。

ジャニーズは韓国アイドルと“間逆”のスタンス

 しかし、ジャニーズはオーディション番組をやりませんし、日常過程を見せることはほとんどありません。ゆえに、入りたての子が急にユニットに所属したり、ソロパートが与えられたりすることが当たり前のようにあります。

 もはや文化としてジャニーズファンには根付いているため、事務所幹部の「スペシャルお気に入り」を略して「スぺオキ」という呼称まで与えられています。

東京B少年が出演したライブに参戦。「金指くんが尊すぎて手を出せず…」と、あくにゃん

 前述したとおり、スぺオキの子たちのドラマや生い立ち、背景をファンは知らないため、すぐに人気を獲得することが難しかったり、新メンバーとして受け入れられないファンが生まれてきたりします。

 そして、このスぺオキに1番困惑するのは、本人でしょう。

『東京B少年』に突如加入した金指一世氏が、この数か月間を振り返った際に、めまぐるしく色々な仕事が舞い込んできたため「早すぎて終わっちゃいました」と、時間の経過を早く感じたと発言しています。

『NEWS』の手越祐也氏は、入所10か月でメンバーに抜てきされ、11か月後には歌手デビューをしていますが、当時、優遇されている手越を見た他のJr.から陰口を言われたと本人がのちに告白しています。

 今はキャラとして確立している「孤高のアイドル手越」も、こういった10代の経験からきているのかもしれません。

 そもそも、こういったファンにとっては不透明な選出方法への疑問に対して、秋元康氏は「じゃあファンの意見でメンバーを選ぼう」と選抜総選挙で対応し、それでも不満を漏らすファンに対して「なら、もう本人の運で決める」<じゃんけん選抜>などを展開しています。

 そして、先ほどの『プロデュース101』と「秋元康」がタッグを組むことが先日発表されました。いよいよ日本でも、韓国でもオーディション番組などでファンからの人気を獲得できた者に価値を見出す時代になってきたのかもしれません。

 もし、人気投票が主流となり、ファンの人気投票によってジャニーズJr.のデビューが決まるとしたら「〇〇君は人気があるのにどうして」というモヤモヤ感は解消される一方、メンバー間でギスギスしたり、精神的に病んでしまうメンバーも出てきたりするため、私個人としては一概に賛成できません。

 しかし、ファンがスポンサー化し、プロデューサー化している今、投票が最も民主主義的で、公平だと判断され、消費者からの要望に応える人気投票の時代が来るのかもしれません。

<プロフィール>

 

あくにゃん◎1995年生まれ。ジャニーズやK-POPをはじめとした、日韓のアイドルの応援が日々の生きがい。

日々のオタ活で感じたことを、独自の観点&独特な表現で言葉にするツイートも必見!

Twitter/ @akunyan621