母校の襷(たすき)をつなぐ学生たちの熱いドラマ『箱根駅伝』。王者・青山学院大の4連覇なるか、はたまた前哨戦を制した東海大、神奈川大が待ったをかけるか──大混戦必至のレース、注目ポイントを解説します!

写真左/優勝候補の神大のエース、鈴木健吾選手。2区区間賞の走りを再びみせるか―? 写真右/青学大は田村和希選手(左)と下田裕太選手の4年生に注目

  ◇   ◇   ◇  

 新春の国民的イベント『箱根駅伝』。第94回大会は2018年1月2日、3日に開催される。テレビ解説でおなじみの碓井哲雄さんは今大会をこうにらむ。

「3連覇中の青山学院大と、出雲駅伝で優勝した東海大、全日本大学駅伝を制した神奈川大、この3強が優勝争いの軸です」

 駒澤大で駅伝主務を務めた、ものまねアスリート芸人のМ高史さんも、

「やはりこの3強。なかでも“学生最強”のエース、鈴木健吾選手(4年)を擁する神大が有力だと思います。前回大会ではエース区間の2区で区間賞。今回は、1区に山藤篤司選手(3年)、3区に越川堅太選手(2年)と、力のあるランナーを前半に置いて先行する展開になるのでは?」

 神大は、個人の持ちタイムでは2校に劣るものの、

「確実に走る選手が多い。鈴木選手の走りは柔らかく、ロードに強いので楽しみです」(碓井さん)

 出雲駅伝は2位、全日本大学駅伝は3位だった青学大。4連覇の可能性は?

「戦力的には前回大会と変わっていないんですが、少しチームに勢いがない気がしますね」(碓井さん)

「5000mを13分台で走る選手が10人以上いて、層の厚さでは群を抜いています」(M高史さん)

 東海大は“黄金世代”と呼ばれる2年生に注目だ。

2年生には關颯人選手、鬼塚翔太選手、館澤亨次選手など、スピードのある選手がそろっています。主将の川端千都選手や春日千速選手など、4年生の出来がカギですね」(M高史さん)

「東海大は若いチームで、経験不足は否めません。ただ、調整がうまくいき、力をしっかり出せればいちばん強いと思います」(碓井さん)

 3強を追うのは、東洋大、駒澤大、順天堂大。

「東洋大はコマ不足が懸念されます。山本修二選手(3年)、渡邉奏太選手(2年)に期待がかかります」(碓井さん)

「母校・駒大は今年、寮が新しくなりました。設備も充実し、いいトレーニングができていると思います。エースの工藤有生選手(4年)、急成長した片西景選手(3年)は注目ですよ」(M高史さん)

「順大の塩尻和也選手(3年)は、昨年のリオ五輪(3000m障害)に出場したランナー。前回大会は2区で5位でしたが、区間賞を取るような走りができれば、流れを変えられるかもしれません」(碓井さん、以下同)

復路名物! 熾烈なるシード権争い

“勝てば天国、負ければ地獄”のシード権争い。10位以内に入れば、次回大会にも出場できる。

シード権を失う可能性がありそうなのは法政大、早稲田大あたりかもしれません。日本体育大は秋に部員の不祥事で1か月の謹慎があったんですが、むしろ一致団結しています。上位に食い込むかもしれません

 予選会通過校で、シード権争いに絡みそうなのは、

帝京大、山梨学院大あたりでしょう。大東文化大は、全日本大学駅伝の出来がよくなかった。本来なら、山梨学院大は優勝争いができるメンバーなんですけど、前回大会で大失敗した(17位)後遺症が残っている感じですね。今回シード権が取れないと、今後の再浮上は厳しいかもしれません。外国人選手が故障していたにもかかわらず予選会で5位に入った拓殖大は健闘するかもしれません

 昨年、87回続いた連続出場記録が途切れた中央大も、2年ぶりに箱根路へ。

「注目してほしいのが、関東学生連合の近藤秀一選手(東京大3年)。文武両道ランナーで、彼が1区を走ったら何人かは負かすでしょうね」

 2018年の号砲が待ち遠しい──。

左/M高史さん 右/碓井哲雄さん

<教えてくれた人>

碓井哲雄さん◎’41年生まれ。箱根駅伝に3度出場、中央大6連覇に貢献。中大コーチ、本田技研工業監督などを経て、現在は神奈川工科大学陸上競技部監督。箱根駅伝のテレビ解説を務めて24年。

M高史さん◎’84年生まれ。駒澤大陸上競技部で2年よりマネージャー、3年より駅伝主務を務める。卒業後は障害者施設で働き、’11年にものまねアスリート芸人に転身。公務員ランナー・川内優輝さんのものまねでおなじみ。