日本人なら誰もが知っている西郷隆盛が主役の、今年の大河ドラマ『西郷どん』。歴史作家の堀江宏樹さんに、ドラマの見どころを予想してもらった。

堀江宏樹さん 撮影/竹内摩耶

“ブロマンス”の世界で躍動する、西郷さんの無敵のヒロイン力に期待

 西郷さんは、文献などを見ると非常にナイーブでナルシストな一面を持っていた人物。それでいて強烈な個性とリーダー力を兼ね備えていたわけですから、“無敵のヒロイン力”と称したくなる華があったと思われます。これって非常に大河ドラマでは重要で、『龍馬伝』『秀吉』『独眼竜政宗』などの過去の人気大河は、すべからず主人公がヒロインチック。「(何だかよくわからないけど)あの人についていこう!」と周りに思わせる魅力を視聴者も共有できれば、高視聴率が期待できるのではないでしょうか?

 西郷さんが生まれ育った薩摩藩には幼いころから男子同士で固まり、年長者が年少者を教育・監督する「郷中制度」というものがあります。言わば超男子校であり、西郷さんのBL的世界観の原体験とも考えられます。

 昨今、精神的につながりの深い男性同士の友情を意味する(ブラザーとロマンスを掛け合わせた)“ブロマンス”という言葉があるのですが、西郷さんの生きざまはまさにブロマンス。そこに“無敵のヒロイン力”が加わったとき……私はそれを“ふんどし大河”と命名したいのですが(笑)、鈴木亮平演じる西郷さんは歴代大河でも屈指のキャラになると思いますね。

<プロフィール>
ほりえ・ひろき◎1977年、大阪府生まれ。早稲田大学第一文学部フランス文学科卒。『乙女の日本史』など乙女シリーズで注目を集める。近著『偉人はそこまで言ってない。 歴史的名言の意外なウラ側』(PHP文庫)が絶賛発売中。