映画祭で親子のように寄り添う、水野氏(左)と西田(右)

「今、映画業界では“あいつ”がいつ逮捕されるかという話題で持ち切りですよ。逃げ回っているからか、誰も連絡がつかないんです」

 ある映画関係者が話す“あいつ”とは、映画評論家の“ぼんちゃん”こと西田和昭のこと。そう言われてもピンとこない方は映画評論家・水野晴郎さん(享年76)の愛弟子と言えば、覚えている人も少しはいるだろうか……。

「西田は『ぼん&正月』というコンビで芸人デビューするも、映画好きだったため水野氏のもとへ。彼の片腕として取材に同行したり、一緒にテレビや映画に出演したりしていました」(スポーツ紙記者)

 だが、'08年に水野さんが亡くなると、西田はテレビなどへの露出も激減。'15年には、水野さんが監督していた映画『シベリア超特急』シリーズの続編製作を記者発表するも、いまだ実現していない。

「お金に窮した西田は、私の知人であるA社長をだまし150万円を詐取したのです」

 そう怒りをあらわに話すのは、被害者であるA氏の友人だ。

西田はAさんに対し、“自分が権利を有する映画200本を映像配給会社Xに譲渡すると、1400万円が支払われる。しかし、古い映画のため補修などに300万円かかるが、その費用がないので融資してくれないか”と話したんです」(A氏の友人、以下同)

 西田はA氏を信用させるため、ある契約書を見せるのだが……。

「西田とX社が結んだ《業務委託基本契約書》を持参したんです。しかし、“守秘義務がある”と、1枚目と最終ページの西田とX社の社長が捺印した部分だけ見せたんです」

 結果的にX社との契約を信じたというA氏。彼が西田を信用したのは、ある肩書が大きかったという。

西田は昨年まで、毎年5月に盛大に授賞式を行う『日本映画批評家大賞』の代表理事でした。パンフレットには安倍総理や麻生財務大臣からの祝辞が掲載されるほど。そんな権威ある賞を運営するトップが詐欺を働くだなんて、普通は思わないでしょう

日本映画批評家大賞機構の概要

 日本映画批評家大賞は、水野晴郎さんや淀川長治さんなどが提唱し'92年からスタート。しがらみのない批評家の目で選んだ賞として映画ファンの評価も高く、昨年までに26回の歴史を重ねる。

「つまり、西田は批評家大賞の代表理事としてAさんに近づいたんです。最終的に300万円の半分である150万円をAさんが融資しました」

 だが、西田が映画を納品しX社からの振込予定日が過ぎても、約束の金額はA氏に支払われなかった。

西田は“X社からノイズなどのクレームがあり、まだ入金がない”など理由をつけ、いっこうに返済しない。そこで昨年夏、西田を問い詰めるとAさんに見せた契約書が全く内容の違う契約書であったことがわかったのです。つまり、映画200本を譲渡するなんて、まったくの作り話だったんですよ

 昨年12月、ついにA氏は西田を詐欺罪で刑事告訴。受理されたという。

代表理事として批評家大賞を仕切っていた西田。権威あるトロフィーは彼によって汚された

「西田は自分が警察に追われていることに気づいたのか、昨年12月には批評家大賞の代表理事は別の人に代わっています。彼は水野さんたち先輩評論家たちの熱い思いがつまった批評家大賞を、詐欺の舞台にしたんですよ。しかも、Aさん以外にも同じような被害にあった人がいるようです」(映画製作会社関係者)

 西田から話を聞こうと自宅を訪れたが、不在のまま。

 映画界に多大な功績を遺した水野さん。愛弟子の不行状をどう思っているのだろうか。