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主役をやりたいと考えていたころにいただいたお話なので、うれしかったけれど、プレッシャーは大きかったです。でも、主役として責任感を持ってやれる楽しさと、やりがいのある作品に参加させてもらえたと思っています」

 こう語るのは、月曜名作劇場 『内田康夫サスペンス 新・浅見光彦シリーズ 後鳥羽伝説殺人事件』(TBS系 2月26日月曜 夜8時~)に主演する平岡祐太。内田康夫原作の浅見光彦シリーズをドラマ化しているTBSで辰巳琢郎、沢村一樹、速水もこみちに次ぐ、4代目光彦役に昨秋、就任した。

“平岡版光彦”はお坊ちゃまらしさ

もともとシャーロック・ホームズが好きだったのですが、オファーをいただいて、浅見シリーズの小説や映像化作品、コミックにも目を通し、できることはすべてやって“自分なりの光彦”を模索しました

『浅見光彦記念館』(長野県軽井沢町)にも足を運び、役作りに生かした。そうして迎えた前作では、放送を見ながらエゴサーチ(ネット上での評価を確認)したという。

「“意外といい”の声には(テンションが)上がりました(笑)。ご覧いただいた方それぞれに、いろんな光彦像があるので、なかには厳しい意見もありました。視聴者の方の声を参考にしながら作っていきたいと思いました。

 最初は、もっとインテリ風がいいかなと考えましたが、家政婦さんに呼ばれている“お坊ちゃま”な感じが、僕の光彦らしさ。その部分は大切にしたいですね」

 第2弾の今作は、原作シリーズ第1作目にして傑作の呼び声が高い。

「浅見光彦が世に出た作品で、見逃せないです。台本を読んで光彦が背負っているものに引き込まれていきました」

 光彦は、12年前に妹の祐子(秋月三佳)と親友の美也子(向里憂香)が伝説の地を巡る旅の途中で巻き込まれた不幸な事故と、新たに起きた殺人事件の謎を解き明かしていく。

僕自身は妹がいないので、光彦の妹への感情はどういうものだろう? と考え、祐子の画像を携帯の待ち受けにしてみました。毎日、見ているうちに、だんだん好きになってきたので“これはありかな”と思ったんです。でも、撮影が始まって、現場で(祐子役の)秋月さんにお会いしたら、すごくテレてしまい、違ったかなって(笑)

先輩B作&竹下と競演、パワーとオーラに圧倒

 光彦と一緒に事件を捜査する野上刑事を演じる佐藤B作は、18年前に沢村が主演したシリーズでも、同じ役で出演している。

広島の尾道を訪れた光彦は、亡き妹の友人の殺人事件の捜査をする野上刑事と出会う。(c)TBS

「広島の三次(みよし)市で撮影したんですが、B作さんは前の撮影のときに立ち寄った喫茶店の方と再会して、とてもうれしそうでした。

 B作さんや母親役の竹下景子さんとは(撮影で)長い時間ご一緒させていただき、優しさや懐の大きさを感じました。役者としてのパワーやオーラにも圧倒されました

 日本各地の名所やグルメなど旅情気分も味わえるのもシリーズの魅力だ。

冒頭10分に登場する広島・尾道のきれいな風景は、見逃さずに、堪能してほしいです。

 連日、長時間続いた撮影は、とてもハードだったのですが、この地のゆったりとした時間の流れ方に、ずいぶん癒されました」

 最大の見どころは、ラスト15分という。

「妹の死をはじめ、すべての事件が解決に向かうシーンです。犯人がわかってよかったね、ではなく、解決したことによる切なさ、それを受け入れていく光彦に注目していただければ。浅見シリーズは、解決後も人の気持ちが残るという余韻があると思います

光彦は野上、文香とともに事件を追ううちに、妹の事故との関連が見えてくる。(c)TBS

 そんな光彦を演じたことで役者として改めて感じたことがある。

(役の)キャラクターが先行するのではなく、目の前で起きていることを素直に感じる。余計なことはせずに、シンプルな芝居の大切さです

 シリーズを重ねるごとに、“平岡版光彦”らしさが増すことを期待したい。

役作りのポイントとは

光彦を演じるときに気をつけていることのひとつが、姿勢。背筋をピンと伸ばしていると、浅見家の人間らしく、品がよく見えるんです! 歩くシーンでは、丹田(へその下あたり)に力を入れてきれいに歩くように心がけています」

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ご当地グルメに舌つづみ

竹下さんと三次のご当地グルメ“唐麺焼き”を食べるシーンがあったんですが、これがおいしかった。広島風のお好み焼きで、中に入っている麺に唐辛子が練りこんであるので、ピリッと辛い。広島出身の僕も初めてでしたが、たくさんいただきました!」

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