監禁現場となった現場アパート。比較的新しい3階建て住居で家賃は6万円弱。容疑者名義で借りていた姉妹の部屋は2階にある

「あの人は定職には就いていないはずです。日中にブラブラしている姿を見かけることが多かったので。ちょっと、変わった人なんですよ」

 と容疑者を知る女性は話す。

 群馬県沼田市で高校1年の女子生徒(16)をアパートの部屋に閉じ込めたとして同県警沼田署は2月16日午前11時51分、監禁容疑で無職・H容疑者(61)を現行犯逮捕した。

 警察の取り調べに対し、

「監禁する意思を持って閉じ込めたわけではありません」

 などと容疑を否認している。

容疑者と被害者の接点は?

 逮捕容疑は、容疑者名義で借りているアパート2階の部屋に14日夕方ごろから40時間以上にわたって被害生徒を閉じ込めた疑い。室内から玄関にカギをかけ、玄関に通じるルートを段ボール箱でブロックし、容疑者自身が監視するなどして逃げられないようにした疑い。被害生徒を監禁している最中に警察に踏み込まれたかたちになった。

 白昼の逮捕劇について現場アパートの住人は、

「全く気づかなかった。部屋から大きな物音が聞こえてきたこともないし、女性の悲鳴を聞いたこともない」

 と驚くばかり。

 被害生徒には高校3年の姉(19)がおり、姉妹でこの部屋に住んでいた。海外旅行中だった姉に被害生徒が携帯電話で事情を伝え、姉の通報で事件が明るみに出た。H容疑者と被害生徒の年齢差は45歳。どのような接点があったのか。

 犯行現場のアパートから徒歩約5分の距離にH容疑者の実家がある。近隣住民の話。

「H容疑者は独身で両親と3人暮らしでした。毎冬のように家族で海外旅行に出かけ、そこでお世話になった人の子どもを預かっていると聞いたことがあります。近くの高校に通わせるためだったようです。最初は被害生徒のお姉さんだけを実家で預かっていて、黒髪のまじめそうな若い女の子が“ただいま!”ってHさんのお宅に入っていくところを何回か見かけました

 やがて、妹も……という流れで近くのアパートに住まわせたのではないかという。家賃は5万7500円。誰がそのお金を出していたのかはわかっていない。

H容疑者が長く暮らした実家は生活感が失われていた。姉妹のアパートからは徒歩約5分

 実家周辺の住民によると、H容疑者の両親はいずれも小学校教師で、信頼できるとみられていた。しかし、約1年前に父親が亡くなり、続けて母親も介護施設に入居した。61歳とはいえ独身男と10代姉妹の3人暮らしはまずい、と姉妹の保護者なりが判断したのだろうか。それほど教師の息子であるH容疑者の私生活は、周辺住民にも窺い知れないものだった。

 冒頭の女性の話。

「どう変わっているか、を説明するのは難しいですね。髪の毛は茶色に染めていて、上下とも発色のいいオレンジのジャージーをよく着ていました。お金は持っていそうだけれど、仕事をしている様子はないし、そんな61歳の男の人って変でしょう?

 H容疑者は実家でひとり暮らししていたはずだが、ここ最近、人の住む気配が全くなくなっていたという。

「実家は夜になっても明かりがつかなくなった。庭の植木も伸び放題でジャングルみたいになってます」とこの女性。なぜH容疑者はアパートにいたのか。犯行動機を含め事件の全容解明が待たれる。