平昌冬季五輪でメダルを獲得した日本選手。(左上から時計回りに)スノーボード平野歩夢、スピードスケート高木菜那、高木美帆、佐藤綾乃、菊池彩花、ノルディック複合の渡部暁斗、フィギュア宇野昌磨、モーグル原大智、カーリングの本橋麻里、吉田夕梨花、鈴木夕湖、吉田知那美、藤沢五月、スキージャンプ高梨沙羅、スピードスケート高木美帆、小平奈緒、フィギュア羽生結弦、スピードスケート高木菜那(写真/共同通信)

 相次ぐメダル獲得で、大盛り上がりだった今回の平昌オリンピック。表彰台、記者会見、はたまた休憩時間には注目発言が飛び出し、日本中を楽しませてくれた。そんな五輪中に出てきた、選手たちの“名言”を一挙お届けしちゃいます。

高木美帆 

「このチームだからこそ、このチームで優勝したかった」

 個人で銀と銅のメダルを獲得していた高木が金を獲得し、3種のメダルを手にしたのは、姉の菜那らとともに出場した団体パシュート。空気抵抗を大きく受ける先頭を6周のうち3.5周も走ることになったが、圧巻の走りを見せ、オリンピックの新記録も達成。決勝前には胸を張って「かけてきた時間はほかのどの国より多いし、質も高いものができている」と話していた彼女。この発言が出たのは、仲間と過ごした“時間”の濃さゆえだろう。

スピードスケート女子団体追い抜きで金の高木菜那、高木美帆、佐藤綾乃、菊池彩花(写真/共同通信)

宇野昌磨

「特に大事に扱おうとは思っていないんで、触りたい人は触ってくださいという感じです」

 銀メダル獲得の翌日に会見で「メダリストとして見られることをどう感じる?」という問いに、「人と会う機会も家とリンクを移動するだけなのであまりない。日常生活もあまり変わらないと思います」と笑いを誘うと、続く「メダルを誰にかけてあげたい?」という問いにこの迷言を飛び出させた。さらに「保存方法も家族に渡して、お任せします」とダメ押しのひと笑いも。“天然愛されキャラ”で、バラエティー番組にも引っ張りだこ!?

宇野昌磨(写真/共同通信)

高梨沙羅

「まだ自分は金メダルを取る器ではない」

 '14年のソチ五輪で惜しくも表彰台を逃す4位だった高梨は平昌で女子初のメダルとなる銅を獲得。ワールドカップでは女子歴代最多となる53回の優勝成績を誇る彼女は悔し涙を流しながらも「最後の最後で渾身のいちばんいいジャンプができた」と語ったのちに、名言を口にした。帰国後の会見で「北京では金メダルが取れるように、ここから新しいスタートを切りたい」とすがすがしく話す口ぶりは、若いエネルギーにあふれている。

葛西紀明

「風が当たらなければこういう結果になる」

 史上最多8回の冬季五輪出場を果たしたスキージャンプ界の“レジェンド”。ソチ五輪では41歳ながら銀メダルに輝くなど、不屈の闘志を見せつけたが、風の不運にも影響されて今回は33位という結果に。初めて現地に応援に駆けつけた妻と娘のイニシャル「R」をヘルメットに刻んでいただけに、悔しさもより一層大きかった。試合後に出したコメントからも哀愁が漂う。次回こそは家族の前で歓喜の瞬間を見せつけてほしい!

小平奈緒

「私はまだあなたのことを尊敬しているよ」

 悲願の金メダルを獲得した瞬間に小平が真っ先に向かったのが、五輪3連覇を逃し母国の旗を握って涙を流す李相花のところ。互いを高めあうライバルでありながら、小平が李の家に遊びにいったり、お返しに日本食を送ったりする10年来の親友でもあった。そんな李を抱きしめ、耳元でかけたのがこの言葉。2人の友情物語は日本と韓国両方のメディアから取り上げられ、「同じチームの選手が金、銀を獲得したかのよう」と称えられることに。

小平奈緒(写真/共同通信)

平野歩夢

「楽しかった。今までイチの大会だったんじゃないかな」

 昨年3月のUSオープンで4回転技を繰り出した際に転倒、救急搬送され、肝臓破裂および左ひざの内側側幅靭帯を損傷するという大ケガを負った平野。5月に練習を再開したときは恐怖心から実家のジャンプ台も滑れなくなっていたという。しかし、金メダルを取るべく本番は失敗を恐れずに大技『DC14』を繰り出し、ショーン・ホワイトをギリギリまで追い詰めた。試合後に若者言葉で語ったひと言には、“乗り越えた男”の確かな重みが宿っていた

原大智

「ちょっとは有名人に近づけたかな」

 初の五輪出場で今大会日本人初のメダリストとなった原は、帰国後に空港でこの発言で報道陣を和ませた。メダルから一夜明けた、彼の母校である渋谷区立広尾中では臨時の朝礼で校長が生徒に原の活躍を報告。SNSを通じて送られてきた「メダル持って行きます!」とのメッセージを紹介した。弱冠20歳、まだあどけなさの残る彼だが、帰国後すぐにトレーニングを開始した。4年後にはもっと有名人になっているはず!

羽生結弦

「プーさんたちはみんな森にかえします」

 フィギュア男子で66年ぶりの2連覇という快挙を達成した羽生。翌日の記者会見には多くの海外メディアも詰めかけた。NBC記者の「リンクに投げ込まれたプーさんはどうするのか?」という質問に対し、彼はこのように返したのだった。会場は爆笑に包まれたが、その後はまじめに「大半は寄付します。思い出に残すために、いくつかのプーさんは、自宅に持って帰ります」と続けた。どのプーさんを持ち帰ったのか……チョイスが気になる!

渡部暁斗

「頂点は見えているけどなかなか登り方がわからないというか……」

 数々の世界大会で2位が多く、“ミスターナンバーツー”と呼ばれている渡部は今大会の個人ノーマルヒルでも、銀メダル。「金メダルを取りたかったが、すでに次のラージヒルに気持ちが向かっているほうが強い。そのへんが4年前(ソチ)との違いかな」とコメントするも、ラージヒルでは強豪ドイツ勢に阻まれ5位に。悔しさをにじませながら出てきたのがこの名言。4年後の“ミスターナンバーワン”に向けて、新たな戦いが始まった。

LS北見

「そだね~」

「ここはよく曲がるからね」「そだね〜」「こっち狙ったほうがいいんじゃない?」「そだね〜」。試合中に発する「そだね〜」の掛け声が話題となった女子カーリング。メンバー全員が北海道出身の彼女たちの道産子なまりが“かわいくてなごむ”と評判に。試合途中にある7分の休憩時間にフルーツを頬張りながら作戦会議をする様子すらも“もぐもぐタイム”だと注目を集めることとなった。おかげさまでカーリング人口も増え“そうだね〜”

カーリング女子(写真/共同通信)