タレント的要素は誰にある?(写真/共同通信)

 日本中が大きな盛り上がりをみせ終了した、平昌五輪。

 2連覇を達成した男子フィギュアスケートの羽生結弦をはじめ、銀メダルの宇野昌磨、スピードスケートで金メダルを獲得した小平奈緒に高木姉妹、「そだねー」と「もぐもぐタイム」で大人気となった女子カーリングチーム。

 その他にも多くのメダリストが誕生し、またメダルは逃したものの注目を集めた選手もたくさんいた。

レジェンドへの期待は高い

 五輪終了後もその余韻は続き、帰国後はスポーツニュースやワイドショーなどを、連日、平昌五輪アスリートたちが賑わせている。

 そんな平昌アスリートたちの中に、今後、テレビの世界で活躍しそうな逸材はどのぐらいいるのだろうか。人気情報番組やバラエティを手掛けるある放送作家に聞くと、

「今いちばん“わかりやすい”のは宇野昌磨選手。特に天然キャラぶりが注目されていますが、これまで一般的にキャラを知られていなかった新鮮さがいいですよね。トークバラエティで、いじりやすいのは間違いないでしょう」

 と言う。また、女子スピードスケートの高木美帆にもバラエティ適正を感じるという。

「帰国後の報告会の時などに、司会をつとめた松岡修造さんと姉の菜那さんとのやり取りの際に、隣で面白いポーズをとったりして笑いをとっていました。しゃべりが好きそうな雰囲気も感じます。フィギュアの浅田姉妹や本田姉妹に続く、華のある姉妹アスリートとして、テレビでも活躍することも期待できそうです

 あるテレビ評論家も、同じように宇野と高木姉妹に注目する一方、レジェンド葛西に期待する。

「実績や知名度はまず文句なし。明るいキャラもよく知られています。トークゲストではなく、リポーターやコメンテーターなどの収まりもよさそうな気がします」

 さらに、コメンテーターや競技解説者としてなら、スピードスケートの小平奈緒も任だと語る。

「クールで知性を感じさせる雰囲気には、『小平さんが言うのだから』という説得力を感じます」

“そだねージャパン”はテレビ向きではない?

 一方、今大会でもっとも注目を集めた羽生結弦については、

「どの方向でもいけるという気はします。でも、意外と解説には向いてないのでは。よくもわるくも、個性が強すぎるんです。そこで行われている競技よりも、羽生くんが何を語るのか、そっちのほうにより興味をもってしまう可能性が高いですしね」(前出・放送作家)

 それでは、“そだねージャパン”の女子カーリングはどうだろうか。前出のテレビ評論家は、

「いわゆる“わちゃわちゃ感”を持つアイドルグループ的な人気の出方もあるので、とりあえずCMなどは、さわやかな雰囲気を活かせるのではないでしょうか」

 とはいえ、テレビタレントとしては、厳しいのではないかとみる。

「人気の裏には“そだねー”をはじめとした、北海道弁の素朴さと、氷上でのユニフォーム姿ならではのカワイさでの“加点”もあったと思います。その素朴さを活かして、美味しいものを食べてのリアクションなどはいいかもしれませんが」(同評論家)

 前出の放送作家も、「カーリング女子はテレビでは難しい」という意見だ。

「やっぱり、普通の女の子たちなんですよ。いい意味で、競技で輝く女の子たち。カワイイんですけど会社に普通にいる女の子たち的で、テレビのタレントという雰囲気ではないですね」

 現在活躍する、アスリート出身者でタレントとしても人気なのは、織田信成や村上佳菜子、浅田舞など、メダル獲得者でなかったり、オリンピック代表ではない人も少なくない。

「メダルを取った人の近くにいて、しゃべる力や華があったりする人が、発掘されるパターンはありますね。今回もメダルにからまなかったけれども、意外な逸材が眠っているかもしれませんよ」

 金メダルを3個も取り、タレント的な魅力もある吉田沙保里のような存在は、かなりのレアケースのようだ。

 とはいえ、アスリートとして次の大会へと挑んだメダリストもおり、今はまだ現役バリバリの選手活動に励んでいる。でも、平昌五輪発の新たなタレントアスリートとして、定着するのは誰か、気になるところ。

<取材・文/渋谷恭太郎>