羽生結弦

 平昌五輪で金メダルを獲得し、シングルでの2連覇を果たした羽生結弦。その活躍は人々に感動を与えたが、代償は大きかった。

「昨年11月に右足を痛めて以来、五輪直前まで羽生選手の近況はわかりませんでした。フタを開けてみると、右足関節外側靱帯損傷に加えて、腓骨筋腱損傷という重傷でした」(スポーツ紙記者)

 約2週間の安静と3か月間のリハビリ加療が必要で、3月21日から始まる世界選手権の欠場をやむなく発表した。治療に専念してほしいものだが、“絶対王者”の不在によって3つの不安が持ち上がる。

「日本からは宇野昌磨選手と田中刑事選手、友野一希選手が出場します。これは翌年の出場枠を決する大事な試合。各国上位2名の順位の数字を足し、13以内であれば3人出場できますが、14以上になると2人に減ってしまうんです」(スポーツ紙記者)

 今シーズンの世界ランキングは、羽生・宇野が1位・2位。羽生が欠場となると、カギになるのは田中の順位だ。

「彼の世界ランキングは15位。平昌では午前中の試合に慣れず苦労しましたが、世界選手権も同様のスケジュールです。反省を踏まえて調整を行うそうなので万全のはず。3枠を確保してくれるでしょう」(スケート連盟関係者)

フィギュアのルール改正

 世界選手権を終えると、オフシーズンに入るが、アイスショーが多く開催される。

「羽生さんが例年出演している『ファンタジー・オン・アイス』は、日程が発表されていますが、出演者のところに現在は彼の名前はありません」(スポーツライター)

幕張で5月、神戸で6月に予定されている羽生のトークショー(イオンスクエアHPより)

 同じ日程でトークショーの開催が発表されているため、会場を訪れる可能性もあるが、

「ファンとのふれあいが持てる機会なので、出演したい気持ちは強いと思うのですが、無理はできないでしょう」(同・スポーツライター)

 また、五輪後には決まって、フィギュアスケートのルール改正がある。今回の五輪でも、顕著に現れたのが“芸術性”と“技術性”の問題だ。

「アリーナ・ザギトワ選手とエフゲニア・メドベージェワ選手の決戦では、基礎点が1・1倍になる後半にジャンプを固めたザギトワ選手が勝利。しかし“芸術性が感じられない”と非難もありました。これを受け、国際スケート連盟が後半のジャンプに制限を設けると発表しました。

 同様に、4回転ジャンプの得点に制限がかかります。今までよりも基礎点が下がり、出来栄え点が+5点~-5点の10段階に変わるのです。加点がつけば大きな得点源になりますが、失敗すれば従来より低い基礎点から減点されるので、難易度の高いジャンプを避け、完成度の高いジャンプを跳ぶ選手も増えるでしょう」(前出・スケート連盟関係者)

 トータル力のある羽生にとっては有利なルール改正だが、甘んじる気はないという。

「羽生さんは難しいジャンプの習得にも乗り気。4回転半ジャンプなどの“難しい技術を取り入れたからこそ成り立つ芸術”を目指すそうです」(同・スケート連盟関係者)

 休んでいる期間も含めて次の戦いは始まっている。